元NHKキャスターが教える喉の健康管理
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声は大切なコミュニケーションツール。いつも良い状態に
「声は人なり」。声は、その人の心の状態や姿勢を表しているものでもあります。大切な仕事の場面で声が出ないと思いが伝わらないばかりか、「健康管理ができていない」「詰めが甘い」と評価を下げてしまうかもしれません。
以前、桂文枝さんと仕事で一緒になったときのこと。本番前に楽屋に挨拶に行くと、満面の笑みと深々としたお辞儀、さらに握手での「お出迎え」でしたが、ほとんど声を聞くことはありませんでした。本番にベストの状態にしておくために、できるだけ声を使わないように気をつけていたのです。その様子にプロフェッショナルの姿勢を見た思いがしました。
声は、私たちの思いを伝える大切なコミュニケーションツール。いつも良い状態でコミュニケーションの一歩を踏み出せるよう、喉を整えておきましょう。
基本は「うがい」「マスク」「水分補給」。「鼻呼吸」も効果的
まず、日頃のノドの健康管理についてです。基本は、「うがい」「マスク」「水分補給」です。風邪予防や喉の衛生のために、外出先から戻ったときは必ず「うがい」をしましょう。水やお湯、うがい薬のほか、日本茶も殺菌効果があるといわれています。プレゼンテーションなどの本番前も、水をがぶ飲みするより、うがいをする方が喉がリラックスします。
次に「マスク」。冷たい風や乾燥、ウイルスを防ぐほか、冷暖房の送風からも喉を守ってくれる必須アイテムです。急激な温度変化は何より避けたいところ。私は夏場でも必ずマスクを持ち歩き、「冷房が冷たすぎる」と感じたときには、すぐに付けるようにしています。また、就寝時にもマスクをつけると乾燥せず、風邪の引き始めでも楽に休むことができます。
そして「水分補給」。喉の潤いを守るためには、適度な湿り気が欠かせません。「喉が渇いた」「何だか引っ掛かる」と思う前に、水分を小まめに取るようにしましょう。ただし、冷たい飲み物は喉を冷やしてしまうので禁物。氷は入れず、常温の水か日本茶を飲むようにしてください。
その他、喉を守るために効果的なのが、口ではなく、鼻から息を吸う「鼻呼吸」です。口から外気を吸い込むと喉を直撃します。鼻というフィルターを通して、外気を適度な温度と湿度にしてから喉に送る方が、喉への負担が軽減されるのです。また、鼻からだと一度に多くの空気を取り入れることができ、深い呼吸(腹式呼吸)になるため、声も気持ちも安定するというメリットもあります。
喉に痛みがあるときは声を出すのを控える。「大根あめ」もオススメ
最後に、喉に痛みがあるときの対策について。痛みがあり、声がかれているときは、とにかく声を出さないのが一番です。体をあたため、睡眠を十分に取り、喉の疲労を回復させるようにしてください。
昔から「せき止め」として使われてきた「大根あめ」もオススメです。サイコロ状に切った大根を、ひたる程度の水あめに一晩漬けたら出来上がり。大根の栄養分がしみ出した水あめを飲むほか、ビタミンC豊富なハチミツや柑橘類のドリンク、体のあたたまるショウガのシロップなども良いでしょう。
喉の状態は、肌のように触ってわかるものではありません。常に自分の声に耳を澄ませ、気配りを忘れないようにしましょう。
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