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ブラック企業と呼ばないで。企業がすべき3つの対策

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ブラック企業には「選別型」「使い捨て型」「無秩序型」がある

ブラック企業と呼ばないで。企業がすべき3つの対策

「ブラック企業」という言葉が世間を賑わしていますが、正式な定義はありません。インターネット上の掲示板で使われ始めたもので、一般的には、従業員に対して劣悪な環境で労働を強いて使い捨てにする企業とされています。典型的なものとして3つの類型があります。

・選別型…大量に採用をするが、労働環境が過酷なため大量に離職してしまう。
・使い捨て型…長時間労働を強いて、使えるうちは使い、使えなくなると辞めさせる。
・無秩序型…パワハラやセクハラを繰り返し、退職強要をする。

景気が上向いているといっても企業の採用基準が緩んだわけではありません。若者の就職状況が厳しいために「正社員として、せっかく入社できた会社は簡単には辞めたくない」という従業員側の心理を企業が利用しているのでしょう。

問題になりやすい「残業代」と「ハラスメント」には適正な対策を

ブラック企業の烙印を押されないためのポイントとしては次の通りです。

(1)適正な労働時間管理

いつも問題となるのは、長時間労働です。そのため、時間外労働の状況を把握し、残業をした場合は必ず残業代を支払わなければなりません。例えば、「年俸制だから残業代は出ない」「残業代は基本給に含まれている」などの下手な言い訳は、ブラック企業と呼ばれる原因となります。

(2)ハラスメント対策の実施

業務上の指導をした場合であっても、パワハラとされる場合があります。人格を否定するような発言をすればアウトですが、指導との境界線は難しいところがあるのが実情です。従業員に教育・研修を行うことでハラスメントとされるリスクを減らすことができます。また、ハラスメントを受けた従業員に対する「効果のある相談窓口」を設置することも必要です。「相談をしたものの、情報が洩れて逆に今まで以上にハラスメントを受けて会社に居づらくなった」となれば、会社は慰謝料を請求されることも考えられます。

解雇はもちろん、退職勧奨の場合も細心の注意が必要

(3)強引な解雇や退職勧奨をしない

解雇は最終手段です。解雇をするのであれば、就業規則の解雇事由に該当していなければなりません。該当していても、労働契約法第16条で「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効となる」と規定されています。また、事前に注意、警告など段階的な懲戒や、弁明の機会の付与など慎重に行わなければなりません。

退職勧奨を行う場合も注意が必要です。退職勧奨は解雇でなく「退職の勧め」なので、その理由さえあれば自由に行うことができます。しかし、問題となるのは、その方法です。従業員を狭い部屋に何時間も閉じ込め退職届を書くよう強要したり、または就業規則の解雇事由にないのに「退職届を書かなければ解雇になる」と信じ込ませるなどの行為を行えば、後から裁判になると解雇が無効とされる可能性が高いです。退職勧奨をして、拒否されれば、その時点で終了しなければなりません。

逆に、使える従業員だから辞めさせないというのもブラック企業の特徴です。能力のある従業員のため、辞めてもらっては困るからと、辞めた場合の違約金を課す企業もあります。その結果、逆に未払いの残業代を請求された例があります。いずれにしても、解雇や退職で争った場合の企業の損害は大きなものとなります。

ブラック企業と呼ばれないためには、特別に何か難しいことをするのではなく、必要なことは実行し、してはならないことはしないことです。要は普通に労務管理をすれば、企業のリスクを減らすことができます。また、良い人材の定着を考えれば、働きやすい環境をつくる努力をすべきでしょう。

リスク対応型就業規則作成と障害年金請求の専門家

松本明親さん(社会保険労務士 松本事務所)

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