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子どもと血縁関係なかった!妻に慰謝料請求できる?

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婚姻中の妻が出産した子が夫の子でなければ不法行為に

子どもと血縁関係なかった!妻に慰謝料請求できる?

婚姻中の妻が妊娠・出産した子が夫の子でないということは、レイプ被害など妻の意思に反して妊娠した場合ではない限り、夫婦間の貞操義務(配偶者以外の人と性的関係を持ってはならないという義務/民法770条1項1号)に違反して、不貞行為(いわゆる不倫)を行ったことが明らかといえます。

そうすると、妻に不貞行為という義務違反の行為があり、夫は精神的苦痛(損害)を受けたということになります。したがって、民法上、不法行為が成立し(民法709条)、夫は妻に慰謝料を請求することができます。なお、不法行為の時効は、原則として「加害者及び損害を知った時から3年」ですので(民法724条)、慰謝料請求は3年以内に行う必要があります。

妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定されるため(嫡出推定/民法772条)、法律上の親子関係を否定するには、子が出生してから1年以内に夫は嫡出否認の訴えを提起しなければなりません(民法775条、777条)。この制度は、子の福祉のために、父子関係を早期に確定し、子の身分関係を安定させるためにあります。この期間を過ぎてしまうと。法律上の父子関係を否定することは極めて困難です。

できちゃった結婚の場合、貞操義務違反があるとはいなえい

しかし、いわゆる「できちゃった結婚」の場合は、少し事情が異なります。例えば、A子さんはB男さんとも付き合っていましたが、交際中に他の男性とも性的関係があった例で考えることとします。

A子さんが妊娠4か月であることをB男さんに告げたところ、B男さんは自分の子どもであると思ってA美さんに結婚を申し込み、二人は結婚したとします。A子さんとB男さんは妊娠当時、夫婦ではなかったので、貞操義務違反があるとまでは言えません。

ただ、A子さんが子どもの父親ではないことを知りながら、そのことをB男さんに隠して結婚した場合には、結婚を決意するにあたり重要な情報を与えなかったという告知義務違反があり、不法行為が成立するとして、慰謝料請求が認められることになるでしょう。逆にA子さんが、B男さんとの交際中に他の男性と性的関係をもった回数が少ないこと等の事情から、A子さん自身もB男さんの子どもであると誤信していた場合は、A子さんに故意または過失がなかったとして、慰謝料請求が認められない可能性もあります。

なお、懐胎当時、A子さんとB男さんがすでに婚約していた場合には、二人の間には貞操義務類似の義務(他の人と性的関係を持たない)が認められる可能性が高く、その場合には不法行為が成立するでしょう。

中村伸子

家族関係のトラブルを解決する法律のプロ

弁護士

中村伸子さん(あおぞら法律事務所)

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