ベアって?実施で中小企業はますます人材難に?
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実施されれば2009年以来、5年ぶり。ベアとは何?
連合が2014年春にベアの要求をするとの報道がなされました。ベアが実施されれば2009年以来、実に5年ぶりとなります。ついに、日本のデフレ時代に終止符を打つ第一歩になると期待されています。
ところで、ベアとは何でしょうか?あまりの長きにわたってベアがされなかったので、ベアという言葉自体が死語になりかけていました。ベアとは、ベースアップ(base up)の略です。年功序列型の給与体系を採用してきた日本独特の昇給方法で、実力によって給与が定まる欧米では存在しない概念です。具体的には、年齢による定期昇給額5,000円プラスベースアップ額3,000円というような昇給額になり、この3000円部分は、いわば「インフレ対応部分の昇給」という位置付けになります。
サラリーマンにとっては嬉しいベアが中小企業にもたらす影
アベノミクスの成果を出そうとする安倍首相は、経団連などの経済団体に来年春の給与アップを要請しています。この2013年春、安倍首相の要請に基づき昇給したように見えた有名企業も、実はベアを実施したのではなく、あくまでも一時金の支給やボーナスの増額をしたに過ぎませんでした。実際にベアをしたのは、その仕組みを知らない一部の中小企業だけだったのです。
サラリーマンにとっては、ありがたく待ち遠しいベア。しかし、来年春にベアが実施されると、知名度も資金力もない中小企業は、今まで以上に優秀な人材が確保できなくなるかもしれません。すでに一部上場企業では、来年からの大幅な初任給増額の見直しが始まっています。これに応じて2年目、3年目といった若年層の給与も大幅に見直しがされます。これに加えて、ベアにより給与支給額のベースもアップすることとなると、この構図を受け入れることができない企業は、優秀な人材をいつまでも採用できないという「人材難」に陥る可能性があります。
来年春からは、デフレで企業収益を圧迫されてきた企業が、今度は人件費の増加に頭を抱えることになります。さらには、来年4月1日からの消費税増税もあります。企業にとって、アベノミクスの3本の矢が「ベアによる人件費アップ」「消費税増税」「企業の海外移転促進による仕事不足」という三重苦にならないと良いのですが…。
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