年内に逆走禁止に。自転車の法律はどう変わる?
- カテゴリ:
- 法律関連
年間13万件以上発生し、全交通事故の約2割を占める自転車事故

自転車の交通事故は年間13万件以上も発生しており、全交通事故の約2割を占めています。それだけではなく、自転車対歩行者の事故は、この10年間で約1.5倍に増加しているようで、しかも、交通事故に関与した自転車運転者の5分の3以上に法令違反があるといわれています。
このような交通事故情勢下で、今年6月14日に改正道路交通法が公布されました。
右側の路側帯の走行は逆走に該当。年内には施行される
第一に、自転車が道路右側の路側帯を通行することが禁止されます。現在、自転車などの軽車両は、歩道のない道路の左側にある路側帯のみならず、右側にある路側帯を通行することも許されていますが、左側の路側帯しか通行できなくなり、自転車で右側の路側帯を走行することは、いわゆる逆走に該当することになるのです。違反した場合には「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」に処せられます。
第二に、ブレーキの効かない不良な自転車に対する警察官の指導が強化されます。警察官は、一定の安全基準を充足するブレーキを備えていないと判断される自転車を停止させて検査することができるようになり、整備不良であることが確認されれば、応急措置や運転の中止を命ずることができるようになります。警察官による停止や命令に従わなかったり、検査を拒否・妨害したりすると「5万円以下の罰金」に処せられます。
第三に、「信号無視」「遮断踏切立入り」「飲酒運転」などの危険な違反行為を繰り返す悪質な自転車運転者に対する講習制度が設けられます。受講命令に従わなかった場合は「5万円以下の罰金」に処せられます。
第一と第二の改正は今年12月13日までに、第三については来年6月13日までに施行されることになっています。
自転車は危険な乗り物。自転車保険への加入の検討も
自転車は手軽な健康スポーツ用具といえるだけでなく、東日本大震災の教訓からか、通勤などにもますます利用する人が増えているように思いますが、自転車といえども、ルールに従わずに乗っていると、他人を死傷させてしまう危険性があることは昨今のニュースでも明らかです。いつ、自分が被害者になり、あるいは加害者になるかもしれない極めて危険な乗り物であることを肝に銘じ、いざというときのために自転車保険への加入ということも真剣に考えないといけない時代に入ったといえるでしょう。
関連するその他の記事
不正競争防止法の改正その2(後編)
令和5年6月7日、「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が可決・成立し、 6月14日に法律第51号として公布されました。 本コラムでは、「②営業秘密・限定提供データの保護の強化」「③外国公務員贈賄に対する罰則の強化・拡充」 「④国際的な営業秘密侵害事案における手続の明確化」について、説明します。
不正競争防止法の改正その1(メタバース規制も視野に)
令和5年6月7日、「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が可決・成立し、 6月14日に法律第51号として公布されました。本コラムでは、「①デジタル空間における模倣行為の防止」について、説明します。
相続登記の義務化と手続きの簡略化で所有者不明土地の問題解決へ。放置物件の有効利用は進むか?
法改正で放置物件の処遇がスムーズになり、問題の解消が期待されます。現在、地方に空き家を所有している人、これから相続問題を考える人にとっては、どのような意味があるのでしょうか。司法書士・行政書士の能登ゆかさんに聞きました。
あっせん団体「ベビーライフ」廃業で問題に。特別養子縁組とは?海外に比べ養子制度が浸透しないワケ
特別養子縁組の制度とはどのようなものでしょうか。海外へのあっせんや出自情報の管理など、今後の課題は。弁護士の半田望さんに聞きました。