諭旨解雇とは?懲戒解雇との違い
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懲戒解雇より処分が若干軽い諭旨解雇
日本テレビは、10月8日付けで、タレントのみのもんたさんの次男で警視庁に窃盗容疑などで逮捕された御法川雄斗容疑者を諭旨解雇したことを発表しました。処分理由は「就業規則に抵触する事実が分かったため」とのことです。その処分について、甘いのではないかという声も一部にあります。実際に社内では、懲戒解雇を主張する意見もあったようです。
「諭旨解雇」という言葉、聞いたことはありましたか?よくわからず、疑問に思っていた人もいたかもしれません。読み方は、「ゆしかいこ」です。諭旨(ゆし)とは、趣旨や理由をさとし告げる、という意味があります。
諭旨解雇とは、懲戒処分の一つで、最も重い処分の懲戒解雇よりも若干軽くしたものです。懲戒解雇の事由があるものの、情状を酌量して懲戒解雇よりは条件面で恵まれた解雇にする、という会社側の配慮です。本人が反省している場合や将来への影響も考えた結果、会社側が退職願や辞表の提出を勧告し、即時退職を求めます。そして一般的には、催告期間内に勧告に応じない場合は懲戒解雇になる旨を就業規則に規定している会社が多いです。
懲戒解雇は退職金が支給されず、再就職にも大きな障害に
懲戒解雇と諭旨解雇との大きな違いは退職金の支給の有無です。懲戒解雇とは、会社が従業員の責めに帰すべき理由で解雇することで、最も重い懲戒処分でもあり、通常は再就職の大きな障害になってしまいます。まさに極刑といっても過言ではありません。懲戒解雇になった事実は、今後の人生においてずっとつきまとい、その従業員の経歴として残ってしまいます。また、懲戒解雇の場合、原則として退職金も支給されませんし、解雇予告されることもなく即時解雇が通常です。
一方で諭旨解雇の場合、退職金は全額または一部減額で支給されることがほとんどです。勤続年数が長ければ長いほど、懲戒解雇と諭旨解雇には雲泥の差が生じます。
懲戒解雇および諭旨解雇のいずれの場合でも、就業規則に詳細について明確に規定していなければ、懲戒処分を下すことはできません。仮に就業規則に規定しているからといっても、行き過ぎた不当な処分であれば従業員から懲戒解雇(諭旨解雇)無効を求めて訴えられることもあります。会社側は十分に注意しなければなりません。
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