アベノミクスによる「円安」効果における消費者が享受するメリット
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アベノミクスが目指す「円安によるデフレからの脱却」で、どう変わる?
アベノミクスが目指す成功のシナリオは、円安を誘導することにより、長年続いたデフレから脱却することです。そして、適度な物価上昇を保ちながら、経済を成長させることを掲げています。円高から円安になること、デフレからインフレになることは、一方が上がれば一方が下がるシーソーのような関係ですから、「これまでのメリット」は「これからのデメリット」ということになります。今後の経済の動きに注目しつつ、消費者もこの変化に上手に対応したいものです。
まず円安になることにより、日本の輸出産業が元気になります。1ドル80円であれば、海外向きに1万ドルで売っていた商品は円になおすと80万円の売り上げでしたが、1ドル100円であれば、同じ1万ドルの商品でも日本円での売り上げが100万円となり、収益率が一気に20%もアップします。これが円安の効果です。
たとえば自動車産業や家電メーカーなど、外国の安い商品に押されていた日本のモノづくりも、円安により価格面での競争力が増しますので一気に元気になってきます。これらの産業は日本においては代表的な企業が多いため、円安による業績アップにより、株価が上がり、賃金が上がるなどのニュースが巷を巡り、「良い雰囲気」がでてきます。
一方で円安になると、外国からモノを買う場合に不利になります。輸入食品やガソリンなどの燃料費の値上がりは、すでに実感しているところだと思います。つまり円高も円安も、すべての人が得をすることにはならず、それぞれメリット・デメリットがあるわけです。
資産状況を「インフレ仕様」にシフトしましょう
では、このアベノミクス効果で消費者ができるだけメリットを受けるにはどうしたらよいのか? アベノミクスが目指すゴールはデフレからインフレへの切り替えですから、これまでデフレ仕様だった資産状況をインフレ仕様に切り替えることが必要です。これまでは、デフレに強い資産を持つことが得だったのですが、状況が180度変わろうとしている今、デフレに強い資産はインフレに弱い資産ですから、今後は価値の上がるモノをもつことがメリットにつながりやすくなります。
たとえば、これまでお金をすべて銀行預金に預けていた人は、デフレ仕様の家計です。デフレではモノの価値が下がるので現金をそのまま持っている人が得をしましたが、インフレ状況下では、株や不動産といったモノの方が金利の上昇より早いからです。もちろん、むやみやたらに資産の入れ替えをするのは感心しませんが、デフレ仕様の家計は、インフレになったらまったくメリットを受けられないということですから、インフレになってもメリットを享受できるよう、一部をインフレ仕様に切り替える準備をする必要があるでしょう。
年金・資産運用に強い独立系ファイナンシャルプランナー
山中伸枝さん(株式会社アセット・アドバンテージ)
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