労働基準監督官って違反者を逮捕できるの?
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ドラマ「ダンダリン」で労働基準監督官が経営者を逮捕
10月2日(水)から、日本テレビ系列ドラマ「ダンダリン 労働基準監督官」がスタートしました。漫画雑誌「モーニング」で連載されていた「ダンダリン一〇一」が原作で、労働基準監督官が企業の不正を暴いていく物語です。女優の竹内結子さんが主演で労働基準監督官役を務めています。第1回の放送は、労働基準監督官が残業代不払いのリフォーム会社社長を逮捕するシーンで終わりました。
放送を見て「労働基準監督官が労働基準法違反者を逮捕できるのか?」と思った人も多かったのではないのでしょうか。実は、労働基準法第102条に「労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う」とあります。この条文が根拠となって逮捕できるのです。
「労働基準監督署」の最後の「ショ」の字は、「所」ではなく「署」を使います。「市役所」「保健所」などの行政機関とは違い、「労働基準監督署」「警察署」「税務署」「消防署」といった「署」の付くところには、必ず司法警察官が在籍しています。よって、捜査権や逮捕権等を有し、取締力が強い役所といえます。
?是正勧告を無視し続けると本当に逮捕される可能性も
ドラマでは、労働基準法第37条(残業代を支払わなければならない法律)違反として逮捕されましたが、このようなケースでは是正勧告を一度も出さずに逮捕にいたることは現実的にはありえないでしょう。しかし、勧告を何度か受けているにもかかわらず、全く反省せず、是正もしなければ、逮捕される可能性が高まります。
是正勧告をあなどらずにしっかりと対応してください。労働基準監督官は、逮捕権まで持っています。真摯に受け止め、改善しましょう。
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