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婚外子相続格差の違憲判断、過去の相続に影響も

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違憲判断がさかのぼって及ぶことを認めない。最高裁が異例の言及

結婚していない男女間に生まれた婚外子(非嫡出子)の相続分を法律上の夫婦の子ども(嫡出子)の半分としている規定が、最高裁判所において憲法違反との判断が下されました。これにより、平成13年7月(審理対象となった事件の相続開始日。以下、「基準時」という)以降に開始した相続で、現時点で未解決の遺産分割事案ついては今回の違憲判断が適用されることになります。法定相続人の中に非嫡出子が含まれるケースでは、嫡出子の相続分と同率として取り扱われます。

最高裁は、「違憲判断は、平成13年7月から決定までに開始された相続につき、本件規定を前提としてされた遺産分割の審判その他の裁判、遺産分割の協議その他の合意により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではない」と異例の言及をしました。すでに解決済みの事案にも効力が及ぶとすれば、法的安定性を著しく害することになります。基準時より前には「違憲判断がさかのぼって及ぶことを認めない」と明言したのです。

過去の相続に影響を及ぼす懸念は払しょくされない

しかし、基準時以降に、相続格差を前提に確定した分割事件は多く存在しています。確定済の遺産分割によって不利益を受けている婚外子が、内容の錯誤無効を主張して訴訟を提起することは妨げられるものではありません。

また、法定相続分に従って分割した預貯金や任意に弁済した借金についても、侵害された自己の相続分の不当利得返還を求めることも考えられます。今後しばらく実務現場での混乱が予想されますので、早急に何らかの指針が示されるべきでしょう。

遺言などの活用で紛争防止対策を

このように、嫡出性の有無に関わらず「法律上の平等」が実現されることになりました。しかし、介護や財産形成に貢献した相続人と、そうでない相続人との「実質的な平等」は、個々の家族の事情により異なります。従来からの制度として、相続人間の実質的公平をはかり法定相続分を調整する「特別受益」や「寄与分」の制度があり、また、被相続人は遺言によって法定相続分と異なる割合を指定することもできます。

複雑な親族事情を抱えている場合は、後々の無用な紛争を避けるためにも、これらの制度を柔軟に利用して対策をしてくことが望ましいでしょう。

六次産業化支援のプロ

西村やす子さん(株式会社CREA FARM(クレアファーム))

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