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「被災者支援法」放置を提訴 判例から見る司法判断は?

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放置された「原発事故子ども・被災者支援法」。その法的責任は?

支援法放置を提訴 判例から見る司法の判断は?

「原発事故子ども・被災者支援法」について、先日、ようやく基本方針が発表され、現在パブリック・コメント(国民からの意見)が募集されています(※9月13日までの予定)。原発事故子ども・被災者支援法が全会一致で成立したのが昨年6月21日のこと。そして、その法律の具体的な内容である基本方針を復興庁が発表したのが今年8月30日。1年以上の時間が経過しました。

この発表前に、法案の早期具体化を求めて被害者19人が訴訟提起をしました。「国が必要な立法をしないということを訴訟で問うことができるのか?」と疑問に思った人もいるかもしれません。

「立法不作為」が問われた事件の判例

これまでも、いわゆる「立法不作為」を問う訴訟が提起されたことがありました。例えば、外国に居住している日本人が「国政選挙の選挙権を行使できないのは憲法違反」として訴訟提起した事件。このときも立法不作為が問われました。判例では、このようになっています。

「国会議員の立法行為又は立法不作為が同項(国家賠償法1条1項)の適用上違法となるかどうかは、国会議員の立法過程における行動が個別の国民に対して負う職務上の法的義務に違背したかどうかの問題であって、当該立法の内容又は立法不作為の違憲性の問題とは区別されるべきであり、仮に当該立法の内容又は立法不作為が憲法の規定に違反するものであるとしても、そのゆえに国会議員の立法行為又は立法不作為が直ちに違法の評価を受けるものではない。

しかしながら、立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や、国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには、例外的に、国会議員の立法行為又は立法不作為は、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けるものというべきである」。

ポイントは後半の部分です。つまり、「国民の権利や権利行使の機会を侵害する場合には立法不作為自体が違法というだけでなく、国家賠償の対象にもなりえる」と判断したのです。

一般的には国会議員が追うべき責任は政治的責任が主体

例に挙げた事件では国家賠償まで認められました。しかし、一般的にいえば国会議員が追うべき責任は政治的責任が主体であり、違法の明白性などがある場合にのみ例外的に法的責任を負うと考えているのが、これまでの判例のトーンです。

今回は訴訟提起後に基本方針が発表されましたが、訴状の様子では発表された内容の不十分さを今後問うものになるのではないかと思われます。先ほど述べたように法的責任を追及するためのハードルは低くはありませんが、被害者への実のある支援に向けた活動の一つとして認められてほしいものです。

身近な相談相手として、問題を解決できる女性弁護士

白木麗弥さん(ハミングバード法律事務所)

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