秋の法人減税策「法人版エンジェル税制」の概要
- カテゴリ:
- ビジネス
資金繰りを投資で解決する「法人版エンジェル税制」
アベノミクスの3本目の矢である「成長戦略」の具体策として、法人減税議論がにわかに活況を呈してきました。このきっかけの一つに挙げられるのが、この春の中小企業金融円滑化法の終了です。260兆円ともいわれる中小企業への貸出金。その40%以上にあたる112兆円が中小企業金融円滑化法の終了によって条件変更をされています。これでは中小企業は活性化するどころか借入返済に追い回されてしまいかねません。
そこで案として浮上しているのが「法人版エンジェル税制」です。これまでもベンチャー企業への投資を促進するために、投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行う制度はありましたが、これを法人にまで広げることで、資金不足に悩む中小企業が資金繰りを金融機関に頼ることなく「投資」によって解決できることになります。
投資される側の中小企業は資本金として受け入れるため返済は不要です。また、投資する側の法人も一定額の税額控除を受けることができる上、投資先の中小企業が発展すれば投資メリットも大きくなります。黒字経営をしながら潤沢な資金を持つ法人投資家にとっては格好の投資チャンスとなり、投資される側と投資する側の双方にとって「おいしい」制度といえるでしょう。
法人減税要望が続出する今、自社の経営基盤の見直しこそ急務
そして、投資促進税制のみならず、事業再編税制の改正や、固定資産を取得した年度に即時に償却する設備投資減税、法人税率自体を東南アジア諸国並みの20%台前半への減額など、「日本を元気にするには企業を元気にするのが一番」とばかりに税制改正要望は多方面から出ています。
平成26年度税制改正では数々の減税策が盛り込まれる予定です。しかし、法人減税策はあくまでも黒字経営をする企業用のものが大半です。国税庁の発表では、日本の約75%の法人が納税をしていません。有効に法人減税を享受したいのなら、力強い経営の足取りを歩むことが必要です。まずは、自社の経営基盤の見直しこそ急務ということになるでしょう。
関連するその他の記事
副業のためのサイト売買という選択肢
中島優太さん
サイト売買に特化したM&Aアドバイザー
4月施行の労働条件明示ルールの変更が働き方に及ぼす影響
小嶋裕司さん
就業規則の整備による人事労務問題解決社労士
4月施行の労働条件明示ルールの変更は労使関係にどのような影響を及ぼすか?
小嶋裕司さん
就業規則の整備による人事労務問題解決社労士
コロナ禍後の勤務形態変更の問題点 ~テレワーク廃止を会社は決定できるか?
小嶋裕司さん
就業規則の整備による人事労務問題解決社労士