「マスク老け」でほうれい線や顔のたるみが気になる!顔トレ「フェイスニング」で表情を豊かに
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「マスク生活が長くなり、会話をする機会が減った」「話をする際にマスクがずれるのが気になって、なるべく表情を動かさない」などが習慣になっている人も多いのでは。特に女性は、マスクに覆われている安心感からメイクが手抜きになったり、顔に緊張感がなくなったり…。ふとマスクを外した時に、「鏡に映った自分の老け顔に愕然とした」といった声も聞こえてきます。
顔全体の印象が急に老け込んだように見えるのは、顔の表情筋の衰えが大きいとも言われています。年齢とともに衰えていく体中の筋力は、毎日の運動を心掛けてトレーニングを続けている人と、そうではない人とでは、スタイルも運動能力も差があるのはよく知られています。
数年前から「顔ヨガ」や「顔ダンス」「指鍼(ユビバリー)」など、顔面の筋肉のさまざまなエクササイズが紹介されたり、「大人のDS顔トレーニング」といったゲームソフトが販売されたりと、顔の筋肉への注目度も高まっています。メイクやエステでエイジングに励むことも大切ですが、顔面を覆う筋肉の衰えが進むのを、毎日の習慣でなんとか防ぐことはできないのでしょうか。フェイスニングインストラクターの上野孝美さんに聞きました。
顔は慢性的な運動不足。表情筋をしなやかによみがえらせるトレーニングで、パフォーマンスの向上や幸せホルモン・免疫細胞の活性化を目指す
Q:マスク生活が続くなか、ふとマスクを外した時に、思っている以上に老けたような印象を感じるのはなぜでしょうか?
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人は、口元を少しほころばせる程度の笑顔を作る際も、口回りの一部分だけを動かしているのではなくて、少なくとも7つ以上の筋肉を使って表情を動かしています。
また、他人から見られているという意識があると、知らず知らずのうちに、緊張感を維持しながら表情を作っているものですが、日常的にマスクをしていると、顔の大部分を隠している安心感から、そうした意識も薄れてしまいます。
中にはマスクのズレが気になって、「ことさら表情を動かさないようにしている」という人もいるかもしれません。そうしているうちに顔全体の運動量が減り、次第に筋肉が退化してしまうのです。
このような状態が長時間続くと、血流やリンパの流れが滞り、「むくみ」が出たり肌の状態が悪くなったり、また見た目の老化の原因ともなる「たるみ」が顕著になってしまいます。
鏡を見るときには、誰でも無意識に良く見える表情を作るものですが、マスクを外した瞬間、あらわになる「くっきり刻まれたほうれい線」や「下がったままの口角」には、嫌でも気付かないわけにいかないでしょう。
鏡の中の自分にがっかりして気分もめいり、一層暗い表情になると「老け顔」がさらに進む、という悪循環に陥ってしまいます。
Q:顔の造作や表情は生まれ持ったもので、トレーニングをしてなにかが変わるというイメージはあまりないのですが…。
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体を動かすために多くの筋肉があるように、顔面も、表情に関係する約30種類もの筋肉で覆われています。個人差があるにしても、適度な運動習慣を実践している人のほうが、そうでない人よりも体形や姿勢は若々しく、動作もキビキビとしていて、何より健康であることが多いです。
顔のように面積の小さな部分にも、多くの筋肉が存在しています。これを長期間使わずにいれば、見た目も健康面でも、さまざまな不具合が現れてくることは、容易に想像できるでしょう。顔全体を、筋肉というフルフェイスのマスクのようなものでぴったりと覆っているとイメージすると、これが柔軟性を失い、自由に動かせなくなったり、弾力がなくなったりするとどうなるのか…。
筋肉が衰えることで起きる現象の主なものは、
「① 筋力が弱くなる」「②筋肉が硬くなる」「③弾力がなくなる」
以上の3つです。
これらを防ぐためには、フルフェイスのマスク(=表情筋)を正しい方法で鍛え、しなやかによみがえらせるためのトレーニング「フェイスニング」が必要になってくるのです。
Q:表情筋トレーニングの「フェイスニング」とはどのようなものですか?
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日常生活では、多くの人が表情筋の2〜3割程度しか使っていないと言われています。全身フィットネスなど、日頃運動を心掛けている人でも、顔の筋肉については意識していないことが多く、顔は慢性的な運動不足と言えるでしょう。
フェイスニングは、解剖学や皮膚科学の裏付けに添って開発された顔面のトレーニング法で、ドイツの解剖学者ウィルヘルム・ルーが唱えた大原則(ルーの法則)に基づいています。つまり「筋肉は使うほど発達するが、使わなければ衰える」という考え方です。
器具や手指によるマッサージ、化粧品など、外側からの力は一切加えないのが特徴で、鏡を見ながら約30種類の顔の筋肉を1つずつ意識し、日頃使うことのない部分までをバランスよく鍛えていきます。
血流やリンパの流れを活発にして、肌そのものを活性化させる美容効果はもちろん、長年の表情の癖や姿勢、噛み癖からくる顔の歪みの解消にも有効ですし、表情を豊かにして表現力を高めたりと、その人自身のトータルなイメージアップも大いに期待できます。
年齢に関係なく無理なく行うことができるので、いつから始めても遅いということはありません。
Q:自分でできるシンプルで効果的なフェイスニングの方法をいくつか教えてください。
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フェイスニングの方法は、30種類の表情筋ごとに一つずつ、計30種類のトレーニングがあります。そのうち、この時期にぜひ行ってほしいものをいくつか紹介します。
全ての動作は、鏡を見ながらゆっくりと行います。一度に最低3回、朝晩2回程度~、無理のない範囲で思いついた時に取り組んでください。
【マスク生活で衰えた口輪筋のトレーニング:アヒル口】
口の周りのたるみ、ほうれい線の解消に。
① 口を大きめに上下に開ける。
② 唇をゆっくり前に突き出し、ラッパのように外側に開く。このとき、唇と口の周りに力を入れ、歪みがないようきれいな楕円の形を意識する。
③ そのまま5秒キープ。
④ 5秒かけて元に戻す。
【舌のトレーニング】
舌は本来、舌先が上の前歯の付け根のすぐ後ろの膨らんだ部分(スポット)にあり、舌全体が上顎に触れているのが正しい位置。歯の裏側には触れない位置です。
マスクで息苦しくなり口呼吸が続くと、舌の筋力が衰えてだらりと下がりやすくなり、「二重顎」や「大顔」、また「ほうれい線」など老け顔の原因にもなります。
舌のトレーニングを続けると、若々しくスッキリしたフェイスラインが得られるばかりか、「滑舌が良くなる」「誤嚥(ごえん)の予防」など、さまざまな効果も期待できます。
(1)舌の根元の筋肉のトレーニング
① 背筋を伸ばし、ゆっくりと上を向き軽く口を開ける。
② 舌先に力を入れながらとがらせて、天井に向かってまっすぐ突き出す。
③ 5秒キープ。
④ 5秒でゆっくり元に戻す。
(2)マスクの下でもできる舌回しトレーニング
① 口を軽く閉じ、舌先で唇と歯の間をぐるりと5周なぞっていく。
② 反対にも5周。
※疲れないようなら、少しずつ回数を増やして10周ずつ、20周ずつと。
【大きな笑顔の基本:大頬骨筋のトレーニング】
ほうれい線・フェイスラインをスッキリさせるトレーニングで、鏡に向かってしっかり笑顔になることでストレスも軽減。トレーニングのあと、頬のあたりがポッポと温まってくるのを感じたらOKです。
① 縦に指2本程度が入るくらいに口を上下に開ける。
② 口角をこめかみの方へゆっくりと上げていく。頬の曲線に添って、口角を上後方へと引き上げるイメージ。下の歯は見せず、上の歯が6〜8本は見えるように。
③ そのまま5秒キープ。
④ 5秒かけて元に戻す。
Q:コロナ禍の今、なぜフェイスニングが必要なのでしょうか?笑顔の効果とは?
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コロナ禍で会話が減り、表情の変化に乏しい日々を送る人や、漠然とした不安やストレスを抱えている人が多いでしょう。対面で人と話すことが減ると、相手と同じ表情や動作を行うことで親密な関係を築きやすくなる「ミラー効果」の機会も失われがちに。楽しい会話を共有して、つい笑顔になるといった場面も見られなくなってしまいます。
脳と心に顔の表情が大きく影響しているのは以前から言われていて、意図的に笑顔をつくることで「楽しい、幸せ」と脳が錯覚してしまうということは、多くの研究でも明らかです。
特にスポーツ選手は、パフォーマンスの向上のために、この脳の仕組みをよく利用しています。少し前の話ですが、短距離走オリンピックメダリストのカール・ルイスが、ゴール直前に意識して笑顔を作り、最後の力を爆発させてゴールを突き抜けていたことは有名な話です。
また、プロ野球選手がバッターボックスに入り、意味もなく大きく口を開けたりする様子を見ることがありますが、これも、緊張のシーンでリラックス効果を上げたり、逆にモチベーションを高めたりするための意図的な行為と思われます。
笑顔が多ければ多いほど、脳から「幸せホルモン」と言われるセロトニンが分泌され、不安やストレスを軽減してくれると言われています。
また、笑顔には免疫細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化させるという研究結果もあり、この時期、ウイルスなどから身を守るための手だてのひとつとしても、見過ごせません。
こうした〝笑顔の効果〟を存分に働かせるために、表情筋トレーニングを始める意味は大きいと言えるのではないでしょうか。
表情筋トレーニング「フェイスニング」のプロ
上野孝美さん(E faceイーフェイス)
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