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  1. 「嵐」チケット高額転売の女性に有罪判決 「チケット不正転売禁止法」とは

「嵐」チケット高額転売の女性に有罪判決 「チケット不正転売禁止法」とは

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法律関連

人気アイドルグループ「嵐」のコンサートの電子チケットをSNSで高額転売したとして、「チケット不正転売禁止法」違反などの罪に問われた20代の女性に対し、大阪地裁は、8月27日、懲役1年6カ月(執行猶予3年)、罰金30万円、偽造身分書の没収の判決を言い渡しました。

「高値でも行きたい」というファン心理につけこみ、人気アーティストのコンサートやスポーツイベントなどのチケットが、インターネット上で高額で転売されるケースは後を絶ちません。「チケット不正転売禁止法」が2019年6月に施行されて以降、全国で初めて適用された事例となり、その効果が期待されます。改めて「チケット不正転売禁止法」で違法とされる行為などを、弁護士の河野晃さんに聞きました。

気軽な気持ちで行ったとしても、高額転売は違法行為として刑罰が科される。悪質な場合は、詐欺罪などが成立し、より重い刑罰が科される可能性もあり

Q:「チケット不正転売禁止法」とは、どのような法律ですか?
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「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律(チケット不正転売禁止法)」は、2019年6月14日に施行されました。人気が高いコンサートやスポーツイベントのチケットが、高額で転売されるケースが問題となっており、チケット争奪戦が予想された東京オリンピック・パラリンピックを前に、制定されました。

それまで、転売目的でチケットを購入したり、会場周辺でチケットを転売したりする「ダフ屋行為」については、各都道府県の迷惑防止条例で取り締まっていました。ただ、条例では、規制の対象が公共の場所、または乗り物でのダフ屋行為で、インターネット上の転売は取り締まることができません。

インターネット上での転売は、近年主流となっており、誰でも気軽に転売できることから、法で取り締まる必要性が高まったのでしょう。

Q:チケット不正転売禁止法では、具体的にどのような行為が違法とされますか?
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同法では、「特定興行入場券」の不正転売などが禁止されています。「特定興行入場券」とは、次の①~④すべての要件を満たすチケットです。

①不特定多数の者に販売される
②チケット販売時に、興行主等の同意のない有償譲渡を禁止することが明示され、かつ、その旨がチケットに表示される
③日時や場所が特定され、入場資格者が特定されるか、座席が指定される
④チケット購入者(入場資格者)の氏名や連絡先が確保されている

①~④すべてに該当するチケットを、定価を超えて販売すること、またはそのための仕入れをすることが、禁止されています。

第2条4項で、「特定興行入場券の不正転売」を、「興行主の事前の同意を得ない、業として行う有償譲渡」と定義しています。何をもって「業として行う」と判断されるかは、ケースバイケースですが、「日を間違えて買ってしまったので、定価以上で買い取ってもらう」などは、不正転売に当たらないと判断される可能性が高いです。

罰則として、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその両方が科されます。

また、法律の施行前にも、チケット転売で立件された事例はあります。例えば、「コンサートに行く意思がないのに、転売目的を隠してチケットを購入する」という行為に、詐欺罪が適用された例は複数あります。

詐欺罪は懲役10年以下と、チケット不正転売禁止法より重い罰則が科されます。チケット不正転売禁止法とあわせて、従来の法律による取り締まりも行われるため、厳罰が科される可能性はあり得ます。

Q:今回、全国で初めて適用された例となります。評価できるポイントは?
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今回、チケット不正転売禁止法施行後の2019年10月に摘発され、大阪地裁が2020年2月に在宅起訴、8月に有罪判決が出されました。同法がきちんと活用され、違法行為は有罪となることを示した点で評価できます。報道によると、女性はもともと嵐のファンで、「もっと良い席をとりたい」という欲求のあまり、チケットを多数購入し、転売をしていたといいます。

熱心なファンなら、よくある行為なのかもしれませんが、「ちょっとくらいいいかな」という気持ちであっても、違法行為にあたります。「軽い気持ちで行った転売でも刑事罰が科される」と広く認知されることで、少しでも踏みとどまる人が増え、抑止力につながると期待したいですね。

Q:今後も、個人に対する摘発は続くでしょうか?また、チケットの高額転売を防ぐために、法で取り締まる以外にできることはありますか?
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法律の施行を機に、今後も警察のサイバー犯罪対策課などが力を入れると考えられるため、摘発は増えるでしょう。また、法律があることで、チケットを販売する興行主側も、大量に購入するケースを発見したときには通報するなどの対策がとれます。

身分証の提示など、入場時の本人確認を厳格化する動きもありますが、チケット購入者にそれほど認知されていないと言えるため、「興行主から購入した人しか入場できない」という意識が当たり前になるように、啓発することも必要です。

一方で、本人確認を今以上に強化することは、システム導入のコストや人件費がかかることにつながり、難しい面もあります。車のスピード違反などと同じように、すでにインターネット上の不正転売は無数にあるため、すべてを取り締まることは現実的ではありません。それでも、摘発された事例を報道で広く知らしめる、アーティスト自らが声を上げるなど、地道に積み重ねていくことが大切です。

また、買う人がいるから不正転売が成り立つという側面も無視できません。買う側の責任を問うような法的整備が進むとは考えにくいですが、「転売行為に関わることは許されない」と、買う側の意識を高める工夫も求められます。

Q:チケット以外にも、人気ゲーム機や漫画などを高額で転売する「転売ヤー」が問題となっている例が数多くあります。チケットに限らず、高額転売を法で取り締まる必要はないのでしょうか?
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「欲しい人がたくさんいる商品を安く仕入れ、より高く売って利益を得る」ことは、商売の基本であり、それ自体は悪いことではありません。事実、合法的な転売で収益を得ている企業もあります。ただ、コロナによるマスクの買い占めのように、仕入れの量や転売価格が、あまりにも常識の範囲を超えると、法によって適正な価格に抑える必要が出てきます。

チケット不正転売禁止法の目的の一つにも、「興行入場券の適正な流通を確保し、興行の振興を通じた文化およびスポーツの振興に寄与する」ことが掲げられています。特に、コンサートやスポーツイベントは、「その日・その場所」でしか見ることができない点で、メーカーの増産などにより「一定期間を経ると定価で買える可能性が高い」ゲーム機などとは異なります。どのような商品であれ、高額転売はもちろん望ましくないことですが、すべてを法で規制するべきではないでしょう。

河野晃

自然体で気軽に相談できる法律のプロ

河野晃さん(水田法律事務所)

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