「食費2万」は実現可能? 適切な食費の考え方、無理なく支出を抑える家計管理術とは
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節約上手の主婦の買い物に密着した「子ども3人でも食費2万円台」という記事が話題となり、ツイッターで「食費2万」というワードがトレンド入りに。これに対し「現実的ではない」「きちんと栄養がとれるのか」といった声が上がり、SNS上では適切な食費の予算についてさまざまな議論が繰り広げられました。外出自粛の影響で家庭での内食比率も高まり、家の食費は膨らむばかり。無理なく節制するにはどうすればいいのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの石井順子さんに聞きました。
全国平均は約8万円だが、食にどれだけ比重を置くかは家庭によりさまざま。「食費」と「小遣い」の範囲を線引きして、支出のルールを明確にすることが大切
Q:「食費2万」のワードを受けて、「わが家の食費は多すぎるかも…」と、家計が気になった人も多いようです。そもそも、ひと月あたりの食費の平均値はどれくらいなのでしょうか。
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総務省の「家計調査報告」(2019年分)によると、2人以上世帯における食費の平均は、消費支出29万3379円、食費8万461円(うち外食費1万4743円)で、消費支出に占める食費の割合は約25%です。外食費を含めて、おおよそ7万円台から10万円以内の世帯が多いのではないでしょうか。
ただし、これはあくまで平均値であり、家族構成や収入、地域によって大きく異なります。共働きで子育て中の家庭だと、宅配食材や出来合いの総菜に頼らざるを得ないため、支出は大幅に増えるでしょう。一方、地方在住であれば、物価の低さに加えて、ご近所の農家さんにお米や野菜をお裾分けしてもらえる場合もあり、食費負担は軽減されるはずです。
Q:適切な食費の予算の立て方は、どのように考えればよいでしょうか?
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よく言われる理想的な食費の比率は「手取り収入の15%」です。手取り収入が月30万円の場合、食費は4万5000円という計算になります。
ですが、食にどれだけ比重を置くかは家庭の事情によります。例えば、育ち盛りの男の子がいる家庭では、大人の1.5倍程度の食事量が必要になることもあり、上記の予算内に収めるのは厳しいと考えられます。
無理な予算を立てるのはストレスの元です。上記の比率は参考程度にとどめ、貯蓄額だけを先取りし、残りの予算で食費や固定費を振り分け、「全体の予算内にさえ収まればOK」と考えましょう。貯蓄の目標額は手取り収入の15%です。
ここで大切なのは、支出のルールを決めることです。ひと口に「食費」といっても、夫だけが飲む酒代、自分用に買ったお菓子代、ママ友とのランチ代…など、その内訳はさまざまで、家計と小遣いの線引きができていないケースは意外と多いものです。食費から成り行きで出している費用はないでしょうか? 一度チェックしてみてください。
Q:予算を決めていても、オーバーしてしまいがちです。無理なく使いすぎを防ぐ方法はありますか?
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ポイント還元やまとめ買いの割引など、一見お得に感じるものは多いですが、「本当に必要なものだけを買う」ことが節制の基本です。下記のポイントを参考にしてみてください。
【嗜好品および外食は、食費ではなく「小遣い」に含める】
前述の通り、酒やお菓子、ジュースといった嗜好品を含むと、食費の管理が複雑になるため、これらは全て「小遣い」として予算を組むことをおすすめします。「食費=生活のために必要な食材だけ」と考えましょう。外食も娯楽の一環と捉えて小遣いに含む方が、食費のコントロールがしやすくなります。
【どんなに安くても、ビールのケース買いは避ける】
ケースで買う方がお得だと感じますが、アルコールは依存性が高く、家にあればあるだけ飲んでしまいがちです。ほしいときに都度買う習慣をつけて、少しずつ飲酒の頻度を減らしていきましょう。お菓子などの嗜好品も同様です。
【冷蔵庫を整理して、在庫管理を徹底する】
冷蔵庫の中が整理されていないと「ないと思っていた調味料が実は奥の方に眠っていた」「期限切れの食材が干からびていた」といった食品ロスが発生し、安く購入したとしてもそのコストは全て無駄になってしまいます。在庫を把握して、最後まで食材を使い切ることが、余分な支出を防ぐ一歩です。
【1週間分の食費の予算を決め、その範囲で買い物をする】
「つい買いすぎてしまう」という人は、現金で一週間分ずつ予算を袋分けしておくのが効果的です。予算を可視化することで、使い過ぎを防ぐことができます。カード決済の場合も、残高が少なくなれば無駄遣いに歯止めがかかるので、クレジットカードの限度額を下げる、電子マネーは予算分だけをチャージするなど工夫しましょう。
【特売チラシのチェックに時間を割かない】
「時間=コスト」と考えて、チラシを見て比較検討したり、悩んだりする時間を減らしましょう。また、特売商品を目当てに頻繁にスーパーに通うと、時間を消耗するだけでなく、余分な物まで買ってしまいやすいものです。買い物の頻度は減らし、メモを持って必要な物だけを買い、すぐ店を出るのが鉄則。ネットスーパーを利用する場合も、定番食材のページだけをチェックして、素早く買い物を終わらせる習慣をつけましょう。
【「ふるさと納税」に寄付をする】
「ふるさと納税」の返礼品には、お米やお肉など、さまざまな名産品がそろっています。節税効果はもちろん、こだわりの食材を受け取ることができ、食卓も豊かになり一石二鳥です。
Q:家計を見直す際、真っ先に着手するのは食費ですが、大幅な削減は難しいものです。ほかに見直すべき支出はありますか。
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食費はライフスタイルに最も影響する出費なので、削りにくいと感じるのは当然といえます。実は、保険料など毎月定額出ていく支出の方が見直し効果が高く、日々の節約を考えるストレスもなくなります。
保険料、通信費、住宅ローンの見直しのほか、定額制で契約しているサブスクリプションや、スポーツジムの会費など、「今、本当に必要なものか」を基準に、何となく払ってしまっている費用がないか、一度クリアにしてみましょう。
また、子どもの習い事は負担が大きくなりがちですが、進学費を圧迫するほど予算をかけてしまっては本末転倒です。将来の資産形成を見据えた上で「他の人と比べない」「見栄を張らない」「無理なお付き合いは控える」といったことを心がけるのも大切です。
コロナ禍で生活スタイルが変わったことを機に、付き合いで参加していた飲み会から距離を置くのも一考です。
Q:SNS上では、食費について配偶者から「何でそんなに(食費に)お金かかるの」と言われたという声も。夫婦間で家計に対する意識の差に悩む人は多いようです。家族に理解を促す方法はないでしょうか。
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夫婦のどちらか一方に家計管理の負担がかかっているケースは多々見られますが、節約は家族全員の協力がないと難しいものです。必要な支出を洗い出し、家族を交えて予算を組んでいきましょう。
パートナーに食費の現実を理解してもらうなら、まずは週末だけ「この予算内で○日分の食材を購入してきてほしい」と、買い物をお願いして、実際にやりくりを体験してもらうのも一案です。小学校高学年くらいのお子さんなら「お菓子の購入はお小遣いの範囲で」と伝え、自分で予算を考えてもらいましょう。お金の大切さを学ぶきっかけにもなります。
最後に、食費は健康につながる支出ですので、無理な節約は禁物です。やりくり上手な人の知恵を取り入れながら、楽しく工夫して支出の抑制を心がけたいですね。
そして、家計の節制を進める上で大きなパワーとなるのが、家族仲の良さと団結力です。「目標を達成したら、前から行きたかったレストランに行く」など、ちょっとしたご褒美を掲げて、ゲーム感覚で取り組むのが長続きするコツ。休日の外食やレジャーを控えた分、家族みんなで手作り料理を楽しむのもいいですね。
家で過ごす時間が多い今こそ、家計に向き合うチャンスです。この機に一度、家族会議を開いて、余分な支出を見直してみましょう。
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