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人気アイドル主演で話題の「ブラック校則」。理不尽なルールに改革はあるか

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中学校や高校などの「生徒手帳」に記載されているほか、学校ごとに細かく制約が定められている校則。髪型や服装だけでなく、携帯電話や化粧品の持ち物規制、恋愛禁止やSNSの使い方など、中でも「本当に必要なのか」と合理性が疑わしい〝ブラック校則〟について、見直す動きが始まっています。

岐阜県の公立高校や、東京都世田谷区の区立中学校では「時代の要請や社会常識の変化に伴い適用が想定されない校則」を、見直しの主な対象として、来年度から廃止するということです。

頭髪の色を強要する校則に対抗する学生の姿を描いた青春映画「ブラック校則」(佐藤勝利、高橋海人主演、菅原伸太郎監督)も公開され、SNS上でも「こんな意味不明の校則があった」と、再び話題になっています。

卒業して数年が経過しても、負の歴史として記憶に残る、不可解なブラック校則。その必要性の合理的な説明がつかないまま、繰り返し、問題提起されてきたにも関わらず、廃止に至ることが難しかったのはなぜでしょう。法律家の立場から見た学校ルールづくりについて、河野晃弁護士に聞きました。

パーマ、丸刈りなどこれまでの判例は学生にとって厳しい内容も。文科省に6万筆以上の署名を提出するなど子どもの権利を守るプロジェクトが発足

Q:今回、岐阜県の教育委員会が調査したところ、9割以上の高校で、旅行・外泊の許可や、自由な政治活動の制限のほか、下着の色の指定などが不適切と指摘されました。どのような点が問題なのでしょうか?
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最近話題になったように、生まれつきの髪色について、証明書の提出を求められる、黒く染めるよう強制されるなども問題ですが、特に下着の色の指定などは、全く意味があるとは思えません。

制服以外の付属アイテムなどで学校指定のもの以外の使用を禁止する、または、細かすぎる仕様を定めるなどの校則は、いかにも前時代的です。

特に公立校では、ある時代、家庭の経済状況の違いなどが顕著に表れるとして、平等性を尊重する学校現場では望ましくないとする風潮があり、それをそのまま現在まで引きずったようにも思えます。

一方で、学校理念などのほか、学業やスポーツの分野での特色や独自性をアピールしなければならない私立校では、異なる事情もあります。学校の特色や校則を理解したうえで、自ら選んで入学したのだからということで、さらに強制力が強まった歴史もあるかもしれません。

また、選挙権を持つ年齢が18歳に引き下げられ、教育現場でも早くから政治に関心を持つような取り組みを始めているにも関わらず、自由な思想や活動を制限するような校則が残っているということには、驚きを隠せません。まさに時代に逆行するものと言えるでしょう。

Q:今回の動きは「憲法や子どもの権利条約、教育基本法に違反する」として、市民団体が見直しを求めたことがきっかけでした。過去に、校則が原因で、法的に問題があるとされたり、実際に裁判になったりした例は?
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2017年に大阪府で起こった「黒染め訴訟」では、府立高校の元女子生徒が、生まれつき髪が茶色であるにも関わらず、校則にのっとって学校側から黒染めを強要され、健康被害の末、精神的にも追い詰められて不登校になったと主張し、府に対し提訴しました。それ以前では、東京の私立高校がパーマ等を禁止する校則に違反した女子生徒に対し「自主退学勧告」をした「東京私立高校パーマ事件(1996年最高裁判決)」があります。

東京地方裁判所は、髪型の自由は憲法によって保障されるものであることは認めたものの、私立学校には「私学教育の自由」があり、独自の校風と教育方針をとることができるとし、パーマ禁止の校則が髪型の自由を不当に制限するものではないと結論づけています。

ほかにも、男子生徒に対する丸刈り、外出時の制服着用を定めた公立中学校の校則の無効等を求めた事例では、「生徒心得は、抗告訴訟の対象となるべき行政庁の処分その他の公権力の行使に当たらない」として請求を退けた例もあります。

これまでの判例を見る限り、生徒側にとっては厳しい内容が多いと言えるでしょう。

Q:過去の裁判では、学校独自の校則による処分については、学校(学校長)の判断を支持するものが多い傾向にありましたが、なぜでしょうか?
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司法の場では、学校教育の現場は「部分社会」であるという認識が存在します。部分社会とは、特殊な社会環境のことで、自律的な団体の内部では、一般社会の規律とは異なる自律的な規律が認められるという考え方です。しばしば、司法の審査権が及ばないとする判断がされてきました。

まさに、学校内部における校則がそれにあたり、強制力を持つ規範ではなく、教育的な指導や配慮なのだから、その運用や判断も学校に任せるべきものだというものです。そうなると、必然的に学校(学校長)の裁量に任せることになり、教育的配慮の名のもとに、合理性が疑わしい校則が、社会通念から切り離されてきたともいえるのです。

特に判断が難しいのは、この部分社会の適用範囲で、登下校中はどうなのか、放課後は、といった問題も出てきます。それでも、長期休暇中などのプライベートな宿泊を伴う旅行・外泊まで、学校の監視範囲とする規定は、部分社会の定義から見ても、干渉が過ぎると言えないでしょうか。
Q:時代に合わないと思われる校則を見直そうとする動きは、全国的に進んでいるのでしょうか?
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前述の、女子高校生の黒染め強要裁判の報道をきっかけに、「ブラック校則をなくそうプロジェクト」(発起人:NPO法人キッズドア理事長 渡辺由美子、 NPO法人ストップいじめ!ナビ 副代表 須永祐慈、スーパーバイザー:NPO法人ストップいじめ!ナビ 代表 荻上チキ)が、ネット署名などを実施、6万筆以上の署名を文部科学省に提出しました。

同時に調査を実施し、黒染め指導以外にも、人権に関わる不適切な校則の実態が浮き彫りになり、文科省に、あらゆるハラスメントにつながる指導や、性的少数者の差別、偏見につながる服装規定などを廃止するよう提言しています。ほかに、学校教師や学生団体によるシンポジウムで、校則についての話し合いの機会が持たれるなどの動きが増えているようです。

また、日本弁護士連合会の活動の一つとして、「子どもの権利委員会」というものを設置しています。大人と違って声を上げにくい子どもの権利を守るため、少年法改正や、家庭での虐待問題などと同様、いじめ、体罰、校則などといった学校生活における子どもの人権問題についても議論を重ね、調査・研究・提言などの課題に取り組んでいます。

Q:一方で、学級崩壊などの重大な混乱を招かないために、ある程度のルールが必要とも言われています。多様な性属性や、海外にルーツを持つ生徒などに配慮しながらのルールづくりの原則とは?
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前述の「ブラック校則をなくそうプロジェクト」の調査結果が国会で取り上げられ、当時の文部科学大臣も「(校則は)絶えず積極的に見直す必要がある」「児童生徒や保護者が何らかの形で参加した上で決定するということが望ましい」という答弁がなされています。

その後も、学校の校則について、児童生徒や保護者が参加して絶えず見直しをしていく必要があるとの見解を示しています。こうした文部科学省の方針とは別に、「ある程度のルールは必要」という声があるのも事実です。

個人的にも、ブラック校則を廃止しようとする動きは歓迎すべきことだと思います。加えて、学校は、急速に移り変わる時代情勢を正しく理解し、偏ることのないルールづくりを心掛ける必要があるでしょう。

現場教師に子どもと向き合う時間的、心理的な余裕がないことも大きな問題ですが、本来なら、学校や教師は、校則などに照らし合わせるまでもなく、たとえば一人一人の子どもの様子に目を配り、息苦しさを抱えていないかと声掛けをするなどが、自然な対応であるはずです。

河野晃

自然体で気軽に相談できる法律のプロ

弁護士

河野晃さん(水田法律事務所)

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