マイベストプロ

JIJICO powerd by マイベストプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. JIJICO
  3. 法律関連
  4. インターネット上の人権侵害が過去最多を更新。被害にあったときの対応法

インターネット上の人権侵害が過去最多を更新。被害にあったときの対応法

カテゴリ:
法律関連
解決!アスクミー JIJICO

インターネット上の人権侵害が2000件超で過去最多に

特にスマートフォンやタブレットの普及で、気軽に情報発信できる・あるいは情報が得られるようになりました。その分、いつのまにかプライバシーを侵害されたり、名誉棄損されてしまうというケースも増えてきています。この度、インターネットにまつわる人権侵犯に関する被害が2000件を超えたとの報道がありました。

今や日常的にSNSを使えるようになった半面、人権侵害にあったり、逆に人権を侵害してしまうということも人ごとではなくなってきています。

このようなプライバシー侵害・名誉棄損などといったインターネットにまつわる事件の被害者になったときにとりうる手段にはどういったものがあるのでしょうか。法的な手段も含めてみていきたいと思います。

プライバシー侵害にあったときは?まずは掲示板管理者に連絡

たとえば自分の住所や電話番号が、何者かによって勝手に一般の人が閲覧できるインターネット上の掲示板に掲載された場合、情報を公開されてしまった人は誰に対してどういった方法をとることができるでしょうか。

自分の住所や電話番号、特に自宅住所は私生活に強くかかわるものであり、一般的には公開されるのは望まないし、知られていないものです。そのためこういった事柄の公開はプライバシー侵害にあたります。

まずはプライバシーにかかわる情報が公開されている掲示板の管理者に対して削除・発信者情報の開示を求めることが考えられます。もし、掲示板の削除に関するルールがあれば、それに従って削除依頼をするのがスムーズです。

プライバシーに関するものが個人の承諾なく掲載されているというのであれば、プライバシー侵害にあたるかの判断もしやすいことから、任意の削除に応じてもらいやすいのではないかと思います。

もし、そういった定めがないときでも、掲示板の管理者にプロバイダ責任制限法ガイドライン(一般社団法人テレコムサービス協会に設置されているプロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会が定めたもの, )が定めている削除請求の方法によって削除を求めることも考えられます。

削除・情報開示を求める裁判も手段としてはあるが時間的・金銭的負担がある

それでも応じてもらえないようであれば、話し合いでの解決が難しいため掲示板管理者に対して削除を求める裁判を起こす、 あるいはそもそも発信をした人が誰かわからなければ、特定するための情報の開示を求める裁判や、それらの仮処分を求める裁判を起こすことを検討することになります。

自分の住所や電話番号が掲示板に載せられ続けるとその分多数の目に触れ被害も拡大するので、一般的には早めの対応を求める、仮処分命令の申立てをすることになるでしょう。この場合、裁判所に一定程度の担保としてお金(数十万円程度)を入れる必要があります。そのため、裁判まで行うとなると、時間的な負担もさることながら、金銭的な負担もかかることを覚悟で行う必要が出てきます。

発信者の特定のための情報の開示を受けることができれば、発信者自身に対する損害賠償請求や書き込みの削除を求めることも考えられます。

なお、掲示板管理者への損害賠償請求は、プロバイダ責任制限法(ちなみにプロバイダ責任制限法は正式名称を「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」といいます)により一定の場合免責されるとの定めがありますので、注意が必要です。

うその内容の書き込みが掲示板でされたときは?不法行為や名誉棄損にあたる可能性も

掲示板に「Aは勤め先のB社では役立たずで無能だ。」といった内容の書き込みがされていたとします。誰か個人を特定の上で、「役立たずで無能」と書かれると、その人(ここではAさん)の社会的な評価を下げるといえますので、名誉棄損となり、掲示板に書いた人に対しては不法行為・あるいは刑法の名誉棄損罪に問いうる可能性があります。

サイト管理者から、発信者の特定のための情報の開示を受けることができれば、発信者に対する損害賠償請求や書き込みの削除を求めうることはプライバシー侵害の場合と同じです。名誉棄損の場合には、刑事上の名誉棄損罪について告訴をすることも考えられます。

ただし、刑法の名誉棄損罪については、

  • ⅰ事実が公共の利害に係わるもので、
  • ⅱもっぱら公益目的で、
  • ⅲ真実を語ったことを書きこんだ人が証明できれば

名誉棄損の要件を満たさず、罪は成立しないとされています。仮にⅲの真実性の証明ができなくても、確実な資料、根拠から相当な理由があると証明できればやはり名誉棄損罪にあたらないとされています。

この考え方は民法の不法行為責任でも同様に考えられ、違法性や故意・過失が否定され、不法行為責任が成立しない場合があると考えられています。

不法行為・名誉棄損はプライバシー侵害よりも明確だと判断しにくい

このように、名誉棄損にあたるとして不法行為責任が発生するか・あるいは名誉棄損罪にあたるかということは、上の例のようなケースであればともかく、一般的にはプライバシー侵害の場合ほど直ちに判断しにくいです。

また、実際のところ名誉棄損にあたるには、特定の個人への誹謗中傷であることが必要になりますが、微妙にイニシャルで表記されたり・あだ名で書かれていたりとなかなかその個人と特定するのが難しいこともあります。

そのため、掲示板の管理者に先のサイト掲示板の削除に関する規約に基づいた削除を求めても、任意に応じないことが実務上は割とみられます。

サイト管理者による任意の対応が難しいとなると、先に述べたように削除や発信者情報の開示を求める裁判あるいはその仮処分の申立てによることが必要になってきます。

ネット上で自分が加害者になってしまわないようにも注意したい

インターネットに関する被害では、これ以外にも著作権に関わるものなどもあります。特に情報を発信する側にたつときは、プライバシーを侵害したり、中傷するような内容でないかよく気をつけて行う必要があります。ことに誰でも見ることができる投稿の場合は、より情報が拡散してしまい被害も拡大する可能性があるので、慎重に行いましょう。

片島由賀

逆風を追い風に変える弁護のプロ

弁護士

片島由賀さん(勁草法律事務所)

Share

関連するその他の記事

その音楽アプリも違法? 悪質なリーチサイト・リーチアプリを規制する改正著作権法が10月1日施行。リンクの投稿も規制対象に?

違法コンテンツに誘引する「リーチサイト」「リーチアプリ」に関する規制が10月1日に施行。今後ユーザーが気をつけるべき点とは? 弁護士の拾井央雄さんに聞きました。

拾井央雄

拾井央雄さん

知的財産や技術系法務に強い理系出身の法律のプロ

「嵐」チケット高額転売の女性に有罪判決 「チケット不正転売禁止法」とは

人気アイドルグループ「嵐」のコンサートの電子チケットをSNSで高額転売で有罪判決。「チケット不正転売禁止法」で違法とされる行為などを、弁護士の河野晃さんに聞きました。

河野晃

河野晃さん

自然体で気軽に相談できる法律のプロ

リツイートしただけで権利侵害に? ツイッター投稿画像の自動トリミングを巡る判決が話題に。今後ユーザが気を付けるべき点とは

ツイッターのタイムライン上で発生する「画像の自動トリミング」を巡る判決が、ネットユーザの間で注目されています。今後ユーザが気をつけるべきポイントついて、知的財産権とIT分野に精通する、弁護士の内田誠さんに聞きました。

内田誠

内田誠さん

知的財産権とIT分野における「技術×法律」を得意とする専門家

気になるCM「あげるくん」で認知度増?改正著作権法が海賊版対策強化として施行 違法ダウンロードの対象や罰則は?

違法にアップロードされた著作物へのリンク情報を掲載し、海賊版に誘導する「リーチサイト」の規制も盛り込まれています(2020年10月1日に施行)。改正により、どのような行為が違法となるのでしょうか。罰則は。弁護士の得重貴史さんに聞きました。

得重貴史

得重貴史さん

国際法務・知財に豊富な経験とスキルを持つ弁護士

カテゴリから記事を探す

キーワードから記事を探す