漫画海賊サイト、なかなか撃退できないのはなぜ?著作権法上の問題は
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漫画海賊サイト、いったい何が問題?複製権の侵害にあたる?
著作権者の許可なく多数の漫画が掲載されている漫画海賊サイトが話題となっていますので、サイト運営者やサイト利用者に生じる著作権法上の問題等を解説してみます。
まず、漫画をその著作権者の許可なく複製する行為は、著作権者が有する著作物を複製する権利(複製権)を侵害します。
サイト運営者が許可なく漫画を撮影したということであれば、その段階で複製権を侵害することになりますが、インターネット上にある漫画の画像を利用しているだけだということになると、違法に作成された可能性のある画像(複製物)をどのように利用しているのかを分析する必要があります。
「画像」のダウンロード自体は私的使用目的なら現行法では違法にはならない
ところで、私的使用のための複製は、一定の場合を除いて違法ではありません(同法30条1項)。
しかしながら、技術の進化により音楽や映像が簡単にインターネット上にアップロードされ、これをダウンロードできるようになったことを受けて、平成21年の著作権法改正により、私的使用の目的であっても、違法にインターネット配信されていることを知りながら、音楽や映像をダウンロード(録音又は録画)することは、罰則はないものの違法とされました。
あくまでも、音楽や映像に限定されていますので、違法にインターネット配信されている画像をダウンロードすることについては、私的使用を目的とする限りにおいて、違法ではないということになります。
サイト運営者の「違法ではない」という主張は妥当か?
また、著作権を侵害する行為は、著作権法119条1項に罰則が設けられています。
平成24年の著作権法改正により、有料で販売ないしインターネット配信されているような音楽や動画が違法にアップロードされている場合において、それが違法であることを知りながら私的使用の目的でダウンロードする行為自体も罰則の対象とされました(同条3項)。
今回の事例について言えば、サイト運営者が、私的使用の目的ではなく営利を目的としてインターネット上にある違法に作成された画像(複製物)をダウンロードしていた場合には、ダイレクトに複製権侵害の問題が生じますし、罰則の対象ともなり得ます。
この点、サイト運営者は、インターネット上にある画像データをクローン表示している、あるいはプロキシを通じて表示しているのみであるから違法ではないなどと主張しているようです。
民事法令の場合、法条の文言に該当しないため直ちに適用できない場合でも、その法条の趣旨を類推して適用を可能とする「類推適用」という手法があるのですが、刑事法令の場合は、人権侵害にならないように罰則の明確化の要請が働くため、このような「類推適用」というものが認められていません。
そうしますと、権利者とサイト運営者との民事的な法律関係を決する場合には、類推適用という形で対処できても、国家がサイト運営者に刑事罰を科するという場面では、類推適用という形で対処することができず、罰則による取締りそのものが非常に困難ということになります。
仮に、権利者が著作権侵害で告訴したとしても、捜査機関において犯罪に該当するものと明確に判断できないからです。
しっかりとした解決のためには著作権法上の課題が残る
そうなってくると、漫画海賊サイトの問題を解決するためには、やはり著作権法を改正するなど明確な規定を設けて対処していくことが必要と考えられます。
ただし、そのためには様々な利害が渦巻く国民のコンセンサスが必要となってきますので、そのための啓発活動も欠かせないといえるでしょう。
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