ふるさと納税、今後も争奪戦は続くのか?2018年の動向を考察!
ふるさと納税って何?制度の内容を簡単におさらい
「納税」という言葉がついているふるさと納税。実際には、都道府県、市区町村への「寄附」です。一般的に自治体に寄附をした場合には、確定申告を行うことで、その寄附金額の一部が所得税や住民税から控除されます。ですが、ふるさと納税では原則として自己負担額の2,000円を除いた全額(収入や家族構成等に応じて一定の上限があります)が控除の対象となります。
平成25年よりふるさと納税の控除上限額が約2倍に引き上げられたこと、平成27年4月以降の寄附より、ふるさと納税ワンストップ特例制度が導入され、原則5自治体までの寄附なら、給与所得者など普段確定申告が不要な方は、確定申告をしなくても所得の金額に応じて上限額まで住民税が控除できるようになったことから、寄附金額も大幅に上昇し、
平成28年度では約2,844億円、件数では約1,271万件となりました。(総務省統計より)
各自治体は、ご当地の企業の商品を中心にラインアップを揃え、地元特産品のPRにも活用しております。自治体によっては、商品ではなく、使い道を限定することにより、その趣旨に賛同した方から寄附を集めている事例もあります。
ただ一般的に、都市部では返礼品を設けていない自治体もあり、就職して都市部へ住むようになった人々が出身地の地方自治体に寄附をする傾向が強く、都市部では税収減の問題が出ています。
総務省より高額返礼品の自粛要請。返礼品の金額は寄付金額の3割以内に?
平成29年4月、総務省より返礼品については電化製品や金券など換金性のある商品の自粛と、寄附金額の3割以内にするよう地方自治体に要請されました。換金性のあるものが散見されるようになった為だと言われております。また換金ができるものは、税金の値引き、もしくは税金を取り戻す結果となり、課税の公平性から問題視する意見も出ています。
返礼品提供は景気刺激策として引き続き期待される
平成28年の住民税でのふるさと納税による減税額は約1,000億円(国税の寄附金控除は含みません)に達しており、返礼品競争が過熱すると自治体が財源不足に陥ることも心配されますが、返礼品の提供は一種の財政出動、地域振興、そして景気刺激策として大きな効果が期待されます。
しかし、返礼品として採用された商品について、これまではお金を支払って購入していた人が寄附により受け取ることも可能となり、仮にその商品がふるさと納税の返礼品でなくなった場合や、自治体が実際に返礼率を下げた場合に、企業の業績にどう影響するのか、ふるさと納税制度の返礼品頼みの企業が出ないか、懸念されるところです。
東京都文京区は、経済的に困窮する子育て世帯に、企業・フードバンク等から提供を受けた食品等を宅配する「こども宅食」を実施し、返礼品等の特典がないにもかかわらず、ふるさと納税による寄附を集めているそうです。
今後は地域ごとの独自性や、自治体のお金の使い方に注目
平成29年9月に就任した野田総務大臣は、記者会見で「地域が返礼品で寄附者を取り合うというよりも、独自性のある事業でアピールするなどの流れができればと思う」とコメントしています。
ふるさと納税の趣旨を考えると、自治体は単に返礼品を目的にした寄附金を競い合うだけではなく、我々納税者は寄附されたお金を自治体がどう使うかという点にも注目すべきでないでしょうか。
参照 総務省HP
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