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自宅禁煙「努力義務」の効力は?条例が成立したら、ゆくゆくは義務化する?

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「子どもを受動喫煙から守る条例」成立 しかし、努力義務にとどまる

東京都議会で5日、小池百合子知事が実質的に率いる地域政党「都民ファーストの会」と公明党が共同提出した「東京都子どもを受動喫煙から守る条例」が賛成多数で可決、成立しました。

主な内容は、「1. 家庭で子供と同じ部屋で喫煙しない」「2. 受動喫煙の対策を講じていない施設、喫煙専用室に子供を立ち入らせない」「3. 子供が同乗する自動車内で喫煙しない」といったもののようです。

この報道を受けて、喫煙者である筆者は、「喫煙者を締めあげれば人気が出るもんね。さすが小池さん(笑)」という感想を持ちました。

確かに、たばこは有害成分を含んでいますし、受動喫煙のリスクも承知しております。ただ、法が家庭に入ってまでルール化することには、相当に違和感を覚えます。法律の世界には、「法は家庭に入らず」という格言があります。有名な例としては、親族相盗例(親族間の窃盗行為は刑を免除される)があります。窃盗という違法な行為ですら法は介入せず家族間で対処しなさいというスタンスを取っているのに、合法的に堂々と売られている煙草を吸うことについては法律よりも下位の法規である条例で規制するのですね。なんだかなぁと思います。

昨今の嫌煙ブームを受けて、喫煙者はかなり肩身の狭い思いをしています。家庭内で堂々と煙草を吸っている人など、個人的には知りません。みなさん、ベランダや庭、良くても換気扇の下や個人的な個室で喫煙を許されている人がほとんどではないでしょうか。こんな条例、あえて作るまでもないような気もします。

しかも記事をよく読むと、これらのルール化はいずれも努力義務にとどまっています。「努力義務」とは、違反しても罰則がない規定ということです。要するに、「そうした方がいいから頑張ってね」というだけの規定です。条例として明記するという意味で、無意味ではありませんが、実効性は定かではありません。東京都は、本条例施行前と施行後に、家庭内での喫煙状況が変わったかどうかについて統計を取っていただきたいと思います。おそらくですが、大きな変化は無いように思います。

波及の可能性はおそらくない

本条例が制定されたということで、今後、同様の法律が制定されたり、さらに違反した場合に罰則が科されるようになるか、と言われれば、それは無いと思います。

今回の条例制定は、パフォーマンス的な要素が強いように見えますし、何よりも家庭内において子どもの前で煙草を吸って罪に問われるというのは感覚的に酷すぎる気がします。それならいっそのこと、煙草を法規制品にした方がまだ分かる気がします。

これらのことから、今回の都条例の制定は、実効性の乏しい人気取り目的のものでしょう。小池知事が女性初の都知事になられて早もう1年。個人的には、「法は家庭に入らず」という原則を崩してまでつくった実行力の伴わない条例よりも、何か意義のあることを成し遂げてきたのか問いたいところです。

河野晃

自然体で気軽に相談できる法律のプロ

弁護士

河野晃さん(水田法律事務所)

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