消費者契約法と適格消費者団体による差し止めとはどういうものか?
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芸能事務所ファンクラブに対する適格消費者団体からの申し入れが話題に
最近、大手芸能事務所に所属するグループのファンクラブ規約について、適格消費者団体が消費者契約法に照らし疑義がある旨の申し入れを行い、芸能事務所も申し入れに応じて規約を改正する、という出来事が報じられました。
問題となった規約や申し入れの詳細は明らかになっていませんが、報道によると、「規約を予告なく改定できる」「支払い済みの入会金と年会費を返還しない」「退会処分とされた会員は損害賠償など一切の権利が行使できない」とする部分について、消費者契約法に違反し無効である、というもののようです。
消費者契約法と「適格消費者団体」とは?
消費者契約法10条は、「消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を過重する消費者契約の条項」で「消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする」と定めています。
これは、多くの消費者契約が事業者と消費者の力の差に基づき、消費者に不利な契約がなされることを防止し、不当に消費者の利益が害されることを防止するために、民法などの田の法律よりも契約の有効性を厳格に規律するものです。
また、消費者契約法9条1項は、損害賠償・違約金について、解約により当該事業者に生じる平均的損害を超える部分を無効とする、とも定めています。これは、不当に高額な違約金を定めて解約を妨害したり、解約により消費者に多大な損害を生じさせることを防止するための規定です。
もっとも、消費者と事業者の情報量や交渉力には格差があり、個々の消費者が契約に異を唱えることは難しく、また訴訟や事業者との交渉等を消費者に委ねることも現実的ではありません。さらに、個別の問題が解決しても同様のトラブルの再発防止につながるという保証もありません。
そこで、消費者契約法2条は、消費者全体の利益擁護のために差止請求権を適切に行使することができる適格性を備えた消費者団体として内閣総理大臣の認定を受けた団体を「適格消費者団体」と定め、適格消費者団体による差止請求等を認めました。
契約のことで不安があれば、適格消費者団体に相談という選択肢も
具体的には、適格消費者団体は、消費者に代わって事業者に対し消費者契約法に違反する疑いのある契約の差し止め等を求め、また訴訟等の提起もできます。これにより、集団消費者被害を未然に防止することが可能になりました。
適格消費者団体は現在全国各地に存在し、それぞれの団体が事業者に対する申し入れ活動や、消費者被害の防止のための活動を行っています。
今回の大手芸能事務所への申し入れもその一環としてなされたものであり、また芸能事務所側もこれに真摯に対応して消費者の利益を守る形での解決に至ったことは高く評価されるべきだと思います。
消費者が日常の生活の中で問題となる契約についての対策を講じるということは簡単ではありませんので、適格消費者団体の役割は今後さらに大きくなると思います。もし、「これは変だな」という契約があれば、お近くの適格消費者団体へご相談してみてください。
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