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親しみやすさと馴れ馴れしさ 不快に思われないためのポイントとは?

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親しみやすさと馴れ馴れしさは紙一重

皆さんは、相手の言動や雰囲気に馴れ馴れしさを感じ、不快な気持ちになったことがありますか?逆に、自分自身は親しみやすさを意識して関わっているけれども、相手にどのように伝わっているのか気になることはありませんか?

ほんの少しのことでどちらにでも転びそうな「親しみやすさ」と「馴れ馴れしさ」、ある意味で紙一重と言っても過言ではないかもしれません。

親しみやすい人と馴れ馴れしく感じる人

親しみやすい人は、相手から見るとこんな感じです。

「話しかけても快く受け入れてくれそうだ」
⇒「なんとなく感じがいいと思う」

一方、馴れ馴れしい人は、

「もう少し距離を置いてほしい」
⇒「なんとなく不愉快だ(鬱陶しい)」

両者の違いは、相手が求めている「親しみやすさ」と、自分が発している「親しみやすさ」に対する感覚の相違です。多くの場合、親しみやすさを意識するあまりに、相手には馴れ馴れしいと伝わってしまうことが多いようです。良かれと思ってしたことが裏目に出てしまうのです。

よくある例として、日常の場で親しいとは認識していない人から、まるで親友であるかのように接してこられた場合はイメージしやすいでしょう。

また、例えば、介護の場で、ご高齢の方だからといたわるつもりで、「〇〇さん、ご飯一人で食べられる?」とお声かけしたのを不快に感じる方もいらっしゃいます。実際には、誰かの手を借りなければ食べられない状況であっても、不愉快なのです。その背景には、その人の性格や育った環境はもちろん、これまで生きてきた年輪があります。私たちがひとまとめに考えてしまいがちなご高齢者は、見かけはお年寄りでも、中身は私たちと何ら変わりません。「歳はとっても気持ちは20歳のままよ!」という台詞を耳にすることがありますが、正にそれです。そんな人に対して、親しみやすくするために、まるで子供に話しかけるような語りかけをすると、相手のプライドを傷つけてしまうことが多いのです。

馴れ馴れしいと思われないためのポイント

① 敬語を崩さない

まず、言葉遣いです。親しみやすさを意識すると、つい、ため口のようになってしまいがちですが、目上の人やお客様なら敬語を崩さないことです。敬語は、それだけで、相手との立ち位置を明確にするものだからです。

先ほどの例の場合、「〇〇さん、ご飯一人で食べられる?」ではなくて、「〇〇さん、お食事はお一人で召し上がれますか?」が本来の言い方です。耳が遠いなど聞き取りやすい言葉の配慮が必要な場合でも、「〇〇さん、お食事一人で食べられますか?」という「ですます調」は必須です。

ご高齢者にかかわらず、あまり親しくない人との会話においても同様です。

② ノンバーバルコミュニケーションを生かす

ところで、そのような言葉遣いでは堅苦しくて親しみやすさなんて伝わらないという声が聞こえてきそうです。

実はコミュニケーションの手段は、言葉だけではありません。「バーバルコミュニケーション」と言われる言語によるコミュニケーションのほかに、「ノンバーバルコミュニケーション」と言われる非言語的コミュニケーションがあります。人の印象は、言葉遣い以前に、目がとらえる表情やしぐさ、雰囲気、あるいは、耳から伝わる声のトーンや抑揚、テンポなどに大きく影響されます。これらが「ノンバーバルコミュニケーション」として大きな役割を果たすのです。

【表情】

笑顔は人の心を和らげます。表情の硬い人といつも笑顔でニコニコしている人とでは、笑顔の人に親しみやすさを感じるものです。

【アイコンタクト】

アイコンタクトとは視線を合わせることです。話をするときに、目を合わせて話をする人とそうでない人を比べると、目を合わせてくれる人の方が、自分にきちんと向き合ってくれているという気持ちになります。それだけで、心の距離がぐっと近づきます。
ただし、じっと見つめすぎると威圧感を感じさせてしまうこともあるので、そのようなときには、相手の鼻から首のあたりにさりげなく視線を逸らすことも必要です。

【声のトーン、抑揚】

言葉を発する手段である声の雰囲気もまた大切です。トーンが高ければ明るいイメージになるでしょうし、抑揚は気持ちがダイレクトに表れます。

③ 相手との距離を考える

アメリカの文化人類学者エドワード.T.ホールによると、パーソナルスペース(心理的な縄張りとも言われる空間)は、下記の4つに分類されるようです。

  • 【密接距離】15~45cm
  • 【個体距離】45〜120cm
  • 【社会距離】1.2m~3.5m
  • 【公共距離】3.5m以上

たとえば、初対面の人に対して密接距離しか保っていなければ、不快感を持たれてしまうでしょう。実際にはさほど親しくはない人に対して、親しみやすさを表現したいがために近づきすぎることのないよう気を付けたいところです。また、ポンと肩をたたいたり、耳元に顔を近づけて話したりなどは、セクハラと誤解される可能性もありますので要注意です。

ご高齢者に手を貸してあげるために触れなければならないような場合にも、ひと言声をかけてから行うことが大切でしょう。

親しみやすい人は、いつも明るく笑顔が素敵です。また、誰に対しても丁寧で、その人に向き合い相手をしっかりと受け入れようとする気持ちが、伝わってくるものです。心の距離が遠いのにもかかわらず必要以上に近づいたり、言葉遣いを崩したりすることで、誤解されないよう気を付けたいですね。

〝気付き〟によって自発的行動へ導く接遇マナー講師

浜田純子さん(株式会社モアグロウ)

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