国会議員の二重国籍は問題なのか?
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国会議員の国籍問題について
最近、国会議員の二重国籍の問題が報道を賑わしています。この問題は法技術的な面や政策的な問題を含み、問題点がなかなかわかりにくいところですので、国会議員の国籍問題について少し整理してみたいと思います。
まず、国会議員は日本国籍を有している必要があると理解されています。一部の公務員や裁判員など、公権力の行使にあたる職業については法律上「日本国籍を有すること」が就任(選任)の要件とされていますが、国会議員については直接に日本国籍を要求する規定はありません。しかし、国政選挙及び地方選挙の被選挙権の要件として、公職選挙法10条が「日本国民は」と規定していることから、立候補の際には日本国籍を有していることが前提(ただし地方選挙については議論があります)と理解されています。
次に、二重国籍について整理してみます。複数の国の国籍を得ることは、国によってこれを認めるかどうかに違いがありますが、日本の場合には国籍法11条から13条で、自らの志望で外国国籍を取得し、または外国国籍を選択した場合には日本国籍を失う、として二重国籍を認めていません。また、国籍法14条では二重国籍状態になっている場合には国籍の選択をしなければならない、と定めています。
ただし、我が国では二重国籍についての罰則はなく、国籍法も二重国籍状態で日本国籍を選択した場合には、「外国国籍の離脱に努めなければならない」とするに止まっています。
国会議員が二重国籍状態にあるのは違法なのか?
では、国会議員が二重国籍状態であることは違法なのでしょうか。
前述のとおり、国会議員に立候補するためには日本国籍は必要ですが、「外国国籍を保有していないこと」、すなわち二重国籍ではないことは立候補の要件ではありません。また、国籍法上も二重国籍の解消(外国国籍の離脱)は努力義務に過ぎませんので、国会議員が二重国籍であったとしても違法である、ということにはなりません。
なお、オーストラリアは憲法で国会議員の二重国籍を禁止しているようですが、日本には憲法にそのような定めはなく、同様の法律もありません。そうすると、国会議員の二重国籍問題は、これを禁止する立法をするかどうかを含めてもっぱら政治的な問題である、ということになります。
政治的な当否は最終的に有権者の審判(選挙)に委ねられるべきであり、ここでは国会議員の二重国籍の是非に言及することはしませんが、最近の問題についての私見を述べると、政争の道具にこの問題が使われているのではないか、という感想を持たざるを得ません。さらに、この問題を口実に戸籍の開示等、公人であることを前提としても過度にプライバシーに踏み込むような行動や要求がなされており、法律家としては行き過ぎの感も否めません。
国会議員の二重国籍を認めるかどうかについては、グローバル化で人の移動も活発になった現代社会の実情をふまえて議論をすることは望ましいと思いますが、あくまで国会議員の評価はその活動や政治姿勢によって行うべきであり、国籍問題を政争の具に用いることは本質的な議論ではないだろうと思います。
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