集団的自衛権とは?行使すると日本はどうなる?
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同盟国等への武力攻撃を実力で阻止できる集団的自衛権
自衛権とは「外国からの違法な侵害に対し、自国を防衛するため、緊急の必要がある場合、それを反撃するために武力を行使しうる権利」とされており、憲法第9条が「戦争の放棄」を定めているとはいっても、「自衛権まで放棄するものではない」と解されています。これに対し、集団的自衛権とは、これまでの政府解釈によれば「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」とされています。
憲法第9条の下において「集団的自衛権の行使」は許されない
ただし、政府は「我が国が国際法上、このような集団的自衛権を有していることは主権国家である以上、当然であるが、憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するための必要最小限度の範囲にとどまるべきものであり、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって憲法上許されないと考えている」とも説明しています。
よって、外国軍への軍事援助については「武力行使に至らない活動」であることを強調することで、「武力攻撃を実力で阻止すること」にはならないものと強引に解釈し、集団的自衛権の行使には該当しない、すなわち「違憲ではない」としてきたのです。
改憲による「集団的自衛権の行使」で戦争に巻き込まれる危険性も
結局のところ、集団的自衛権を行使するためには「戦争の放棄」を定めた憲法9条を改正することが必要とならざるを得ず、日米同盟を重視する現在の政府としては、憲法改正を容易にすべく憲法第96条の改正要件そのものを緩和しようと考えているのでしょう。
戦争を「最大の基本的人権侵害と環境破壊」と捉える立場としては、憲法第9条の定める「戦争の放棄」は死守されるべきものと考えます。集団的自衛権の行使は、日本が戦争に巻き込まれる危険性を高めるかもしれないからです。
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