朝お腹がすかないから朝食を食べない人が増加。理由の多くは夕食時間に
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「朝食が食べた方がいい」そんな言葉をよく聞くでしょう。それにもかかわらず、朝におなかがすかないという理由で朝食を食べない人が増えています。実は、その理由は夕食時間にありました。そこでこの記事では、朝食をとるべき理由と、なぜ食べられないのか、といったことをご説明します。朝食をしっかりとるための改善策も提案しているので、参考にしてください。
朝食を食べない人が増えている
近年、朝食を食べない人が増えているということが大きな問題になっていますが、実際どれほどの人が朝食抜きで過ごしているのか。政府の食育白書から、その現状を読み解いていきましょう。
【4人に1人の若者が朝食を食べていない】
2018年度版の食育白書によると、20代〜30代の若い世代で朝食を食べない人の割合が26.9%となり、4人に1人が朝食抜きで過ごしていることがわかりました。2015年度と比較すると2.2%上昇しており、若者の朝食抜きの習慣が増加傾向にあると言えるでしょう。
【子どもの欠食も上昇傾向にある】
食生活が成長に大きく影響する小・中学生でも、朝食を毎日きちんと食べていない子どもが増えています。そのため、学校でも「早寝・早起き・朝ごはん」ということを伝えているほどです。
小学生が朝食を抜く割合は2018年度は5.5%、2015年度に比べると1.1%増。中学生は2018年度で8.0%、2015年から1.4%増えています。データからも、子どもたちが朝食を食べていない割合が上昇傾向にあることがわかります。小・中学生ともに、朝食を食べない理由が「食べる時間がない」「食欲がない」の順になっており、それぞれが約4割を占めているそうです。
20代、30代といった若者の場合と異なり、子どもの食習慣は子ども自身の問題ではなく、保護者などが意識して改善していくことが大切だと思います。
(出典:農林水産省HP「平成30年度 食育白書 第3部 食育推進施策の目標と現状に関する評価」)
朝食を食べることの重要性
子どもにとっても、大人にとっても大切な朝食を、食べることで得られる効果についてお話しします。
【仕事や勉強がはかどる】
朝食で適度な糖質を摂取することで、脳のエネルギー源であるブドウ糖が吸収されます。朝、食事をとらずおなかがすいたままでは、このエネルギーが不足している状態なのです。朝食によりエネルギーを満たすことで脳の働きがよくなり、集中力や記憶力が高まって、仕事や勉強の効率がアップするというメリットがあります。
【イライラが減る】
私たちの脳にはセロトニンという、心の安定を保つ神経伝達物質が分泌されていて、別名「しあわせホルモン」とも呼ばれています。このセロトニンは日光を浴びるほか、食事をよくかんでいただくことでも分泌を促すことができます。そのため、朝は余裕をもって起きてカーテンを開け、朝の光を感じながら朝食をとることで午前中のイライラもやわらぎます。
【体を活発に動かすことができる】
朝、出かけるときに「体が重くだるい」といった疲労感があるのは、朝食により1日の活動に必要なエネルギーを取り入れてないからです。朝食を食べると、脳だけでなく体にも必要なエネルギーを補うことができるので、体が目覚め元気に動けるようになります。
【体温が上がり免疫力が高まる】
食事をすることで体の中の消化器官が動き始め、熱が作られます。そのため、朝からしっかり体温も上昇します。体温が上がると血流がよくなり、ウイルスや細菌といった異物から体を守ってくれる免疫力も高まります。
なぜ朝食を食べない人が増えたのか?
では、なぜ現代人は子どもを含めてこれほど朝食を食べない人が増えてしまったのでしょう。
アサヒ飲料の調査では朝食を食べない理由として、「ギリギリまで寝ているから」「食べている時間がない(食べている余裕がない)」「おなかがすかない」「朝は気分が悪い(食べられない)」が上位を占めていました。そこで、どうすれば朝食をしっかり食べられるようになるかを考える前に、なぜ「時間がない」「朝おなかがすかない」ということになるのか考えてみましょう。
【時間がない】
平成28年社会生活基本調査によると、日本人の平均就寝時刻は23時15分です。諸説ありますが、最適な睡眠時間は8時間と言われています。しかし、毎晩23時過ぎに寝て、これだけの睡眠時間を確保するとなると、起床時間を遅くせざるをえません。朝は余裕をもって起きたいという人でも、日々の業務で疲れ、時間通りに起床できないというのが現実ではないでしょうか。仕事や学校に出かける時間ギリギリまで寝てしまうと、起きてからは身支度をする準備だけに追われ、朝食の時間が削られてしまいます。
(出典:平成28年社会生活基本調査「都道府県、主な行動の種類別行動者率・平均時刻-平日,男女総数(15歳以上)」)
【朝、おなかがすかない】
部活や塾、仕事で夜遅くに帰宅するなど、夕食時間が22時、23時以降になることもあるかと思います。しかし、消化吸収や代謝機能が高まっている中学生や高校生、20代くらいならまだしも、こういった時間帯に飲食をすれば朝6時、7時に空腹を感じることは難しいでしょう。
また、規則正しい食生活を送ることで胃などの消化器官に一定のリズムが生まれ、食事時間をふまえた上できちんと消化の準備を始めます。これにより、朝、昼、夜といい時間におなかがすいて、食事をとれるようになります。朝食抜きの日が続くと、こういったリズムを消化器官が忘れてしまうので、「朝になっても食欲が出ない」「おなかがすかない」という状況になってしまいます。
この記事を読んでいる人の中で、今朝、朝ごはんを抜いたとすれば、その理由は上記のどちらかではないでしょうか。朝食を食べない子どもが増えているのも、大人と同様に夕食時間や就寝時間が遅くなっていることが大きな原因の一つだと思います。
例えば、6時くらいに起床するのであれば、大人も子どもも18〜19時頃に夕食を済ませ、子どもであれば遅くても21時~22時、大人の場合でも22時〜23時までに就寝するのが理想です。
朝食を習慣にするにはどうすればいいか
早めの夕食を心がけ、睡眠時間をしっかり確保することが朝食を食べることにつながります。しかし、さまざまな理由から、多くの人が理想的な食事時間、就寝時間を続けることが難しいと思います。
朝ごはんを習慣にするためには、いかにして「朝、おなかがすく体調」にしていくかが大切で、やはり「夕食」がポイントになってきます。
【夕食のメニューなどを工夫し睡眠確保】
夕食の時間が極端に遅くなってしまった日は、思い切って簡単なものですませることも大切です。人間の体は消化吸収に平均で4時間かかると言われており、夕食の内容次第で睡眠の質を向上させることも可能です。
夕食時間が遅くなってしまっても、食事内容を軽くしたり、水分補給程度に抑えたりすることで、就寝中の胃腸の負担を減らすことができます。そして、消化吸収に使う体のエネルギーを体のメンテナンスに使えるため、起床時の体のだるさの軽減にもつながります。
健康上問題がない人であれば、食事量を少なめにするといった「夕食プチ断食」もいいでしょう(治療中の病気がある、健康上問題がある人は避けてください)。私自身も体調管理の一環で定期的に行っていますが、朝の心地よい空腹感は1日のスタートをスムーズにしてくれます。
【朝食セットを準備したり簡単な献立を考える】
「洗い物も増えるし、朝ごはんなんて作っている時間ない」という人も、ちょっとした工夫で朝食時間を確保できます。
例えば「いろんな食器を使わず、お皿はワンプレートにする」「朝食用の食器やおはし、スプーンやフォークなどはボックスやカゴにまとめて入れておく」「ジャムやバター、納豆やふりかけといった朝食セットも同様にトレーなどにまとめ冷蔵庫に入れておく」などです。食器棚や冷蔵庫からさっと取り出せるうえ、使用する食器が限られ、戻す場所も決まっているので後片付けも楽です。
メニューについても、お休みの日に、おわん1杯分のおみそ(市販の顆粒タイプのダシをまぶす)と乾燥ワカメやかつお節、とろろ昆布といった具材をラップで包み保存しておくと、お湯をかけるだけでおみそ汁が完成します。
クリームシチューも作り置きして、ラップなどで小分けにして冷凍。食べるときは牛乳を加えてレンジで温めるだけと簡単です。
朝食をおいしく食べられる生活=健康的な生活
「朝食をおいしく食べられる生活=健康的な生活」と言っても過言ではないと思います。そして、1日3食の内容とバランスも大切です。昔から、健康的な食事の量は「朝は王様のように・昼は大臣のように・夜は平民のように」と言われていることからも、3食の中でどれだけ朝食が重要な存在かわかります。
ほとんどの人が、これと逆になってしまっていることが朝食の欠食にもつながっているので、ぜひご自分の「寝る時間」「夕食の時間」「夕食の内容」を見直してみてはいかがでしょう?朝に起きることに慣れ、時間の余裕が生まれたら、ウオーキングやラジオ体操などの簡単な運動を朝に行うのもおすすめです。さらに空腹感が増し、目覚めも良くなり、おいしく朝食を食べられるようになるでしょう。
お通じが気になっている人は、便秘の改善などにもつながる習慣だと思います。
最後に、夕食時間や就寝時間に問題がなくても朝おなかがすかないのは、慢性的な胃腸の弱りや、何かしら胃腸のトラブルがひそんでいるかもしれません。そのような状態が長く続く場合は、医師や専門的な薬局などで相談することをおすすめします。
元気で長生きをしている人は、きちんと朝食を食べている人ばかりです。自分の健康管理、健康維持のためにも、毎日おいしく朝ご飯が食べられる体調を保っていきましょう。
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