高知県大川村 議会廃止検討。直接民主制へ課題は山積み
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高知県大川村が議会廃止を検討 その意味するものは?
高知県大川村が,村議会を廃止して町村総会の設置の検討に動き出したとの報道がなされました。
村議会を廃止するなど,一体どういうことなのでしょうか。この点も含めて解説してみます。
都道府県や市町村といった普通地方公共団体においては,地方自治法89条が「普通地方公共団体に議会を置く。」と定めているため,議会制民主主義制度のもとで政治が行われるのが普通です。
すなわち,住民は,選挙により議会の構成員たる議員を選出し,議会が条例の制定改廃,予算などを決定しますので,間接民主制が採られていることになります。
しかしながら,地方自治法94条は,「町村は,条例で,第89条の規定にかかわらず,議会を置かず,選挙権を有する者の総会を設けることができる。」とも定めており,議会と同じ権限を持つこの町村総会が設けられた場合には,住民自らが直接に条例の制定改廃,予算などを決定に参画することになりますので,間接民主制ではなく直接民主制ということになります。
直接民主制の利点と問題点について
間接民主制では,選挙の際に買収が行われるなど,民意を歪められる危険性がありますし,議員の多選が続くと,そのような議員が議会を支配するようになり,住民全体のためではなく一部の住民のみに利するような政策決定を行うなど,地方自治の腐敗を招きかねません。
選挙の時期と議会の開催時期に隔たりがあると,議会の決定が必ずしも民意を反映しなくなる可能性もあります。
自分たちのことは自分たちで決めるというのが民主主義である以上,間接民主制よりも直接民主制の方がストレートに民意を反映するものとして,民主主義の理念にはより適っているということはできます。
しかしながら,この直接民主制には問題も指摘されています。
それは,町村総会なるものをどうやって開催するのか,政策課題が多い場合に,頻繁な開催を期待できるのかということです。
議会を廃止して町村総会を設置するという動きは,大川村のように過疎化や高齢化により議員の担い手が少なくなったり,地方公共団体としての規模が小さくなってしまった場合が想定されるところですが,それでも町村総会の構成員の人数がどの程度であれば実現が可能なのか,それが成功し得るのかは,我が国では過去に経験値がほとんどないため,不透明としか言いようがありません。
その意味では,大川村は少子高齢化社会における地方公共団体のあり方の指標ともなり得るわけですが,町村総会の構成員となるべき住民自身が地元の政治に関心を持っていなければ意味がありませんので,そのあたりの教育ないし啓発といったものも今後の課題の一つといえるでしょう。
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