花粉症は食べ物で悪化する!?改善効果のある食材やおすすめレシピ
今や国民病といっても過言ではない花粉症。主にスギやヒノキの花粉によるものが多く、平成28年に東京都が行った調査では、都内のスギ花粉症の推定有病率は48.8%で、ほぼ二人に一人が悩まされている計算になります。毎年春先になると、花粉症の症状を防ぐためのさまざまな対策が紹介されますが、そのなかでも多いのは食べ物に関するものです。「花粉症には〇〇を食べるとよい」「〇〇を食べるのは、花粉症にはよくない」といった情報が氾濫。実際には何を食べ、何を食べなければよいのかわからなくなっている人も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は花粉症で悩む人におすすめしたい食べ物とおすすめできない食べ物、そしてその理由についてお伝えします。
花粉症になってしまう原因は免疫力の過剰な働き
私たち人間には、体内に侵入しようとした花粉やウイルス、細菌といった異物を取り除こうとする働き、いわゆる免疫力が備わっています。ただし、人によっては体の状態によって、ある特定の異物に入ってこられると、免疫力が過剰に働きすぎてしまい、過敏な反応(アレルギー反応)を起こしてしまいます。これが花粉症を含めたアレルギーの簡単な仕組みです。
日本では、冒頭で紹介したスギ、ヒノキのほか、イネ科(カモガヤ)、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどが花粉症の原因花粉として知られています。代表的な花粉症の症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなど、目と鼻に異常をきたすことがほとんどです。その理由としては、目と鼻がほかの体の部位に比べ免疫反応に関係の深い粘膜組織を持っているうえ、外気に接していて花粉に触れる機会が多いためだと考えられます。
花粉症というと2月から、早い人では1月ぐらいから症状が出るのが一般的ですが、これはスギの花粉で、ヒノキは3~4月、ブタクサは8~9月が最盛期です。そのため、2つ以上の花粉に反応してしまう人は、長期にわたり花粉症に悩まされます。
花粉症を悪化させないように気を付けることは?
都内では、ほぼ2人に1人という高い罹患率を持つ花粉症ですが、基本的に一度罹患してしまうと完治は非常に困難です。花粉症の原因がスギだとして、仮にスギがなくなったとしても、今度は別の花粉に反応してしまう可能性が高いからです。
一度、花粉症になってしまったら、治すよりも少しでも症状を和らげる方法を考えたほうがよいでしょう。高い効果が期待できるのはマスクやゴーグルを使い、できる限り花粉に触れないようにすることです。そのうえで、次のような点に注意する必要があります。
【風邪やインフルエンザにかからないようにする】
風邪やインフルエンザは、粘膜の上皮を弱くします。そのため、花粉が飛散する時期に風邪、インフルエンザなどになってしまうと、花粉症の症状をさらに悪化させる可能性が高くなります。
【飲酒、喫煙を控えめにする】
アルコールには血管を拡張させる作用があります。過度に飲酒すると鼻の粘膜が腫れ、鼻づまりが起こりやすくなります。また、タバコも喉や鼻の粘膜を傷つける要因となるため、花粉症の季節には十分な注意が必要です。
【バランスのよい食事をする】
免疫力を高めるには、健康を維持するのがもっとも重要です。そして健康維持に欠かせないのが栄養バランスのとれた食事です。好き嫌いや偏りをできるだけ避け、何でもバランスよく摂取し、健康維持を心がければ花粉症の悪化を避けることができます。
以上のポイントに日頃から注意すれば、免疫力を高めることにつながり、花粉症の症状緩和にもなるでしょう。
花粉症対策におすすめの食べ物は発酵食品、ビタミンDを含むもの
免疫力を上げることが、花粉症の症状を和らげる方法のひとつです。免疫力を高める方法はいくつかありますが、近年、免疫と大きな関係があるとして注目を集めているのが「腸の働き」です。花粉症対策として、乳酸菌やビフィズス菌に代表される「善玉菌を増やすことが有効」と言われているのは、腸内環境を整えることで「腸管免疫」と呼ばれる体の免疫システムの働きがよくなるからです。
私たちの体は、免疫機能が低下するとアレルギーなどを発症しやすくなります。そのため、この免疫システムのバランスを整えることで、花粉症対策をすることができます。
善玉菌と言うと、ヨーグルトやチーズなどの発酵した乳製品を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、善玉菌を増やす発酵食品はそれだけではありません。ここでは、花粉症の改善を期待できる食べ物を紹介します。
【植物性の発酵食品】
近年は植物性の発酵食品、納豆やみそ、しょう油など日本人が古くから食べてきたものも日本人の胃腸にはあっているのではないか?といった意見があり注目されています。
【ビタミンDを含んだもの】
花粉症の改善には、免疫システムを整えることが大切です。この免疫システムの調整に有効に働くのが、ビタミンDを多く含んだ食品です。
ビタミンDの不足により、筋肉痛、筋力低下を招くことがありますが、それ以外にも体内に侵入するウイルスや細菌に対し、過剰な免疫反応を起こす場合があります。これが結果として、花粉症を悪化させてしまうのです。
花粉症対策としてビタミンDを補う必要がありますが、豊富に含んだ食品として挙げられるのは、イワシやシラス、紅ジャケといった魚介類、干ししいたけ、干しきくらげといった乾物などです。
【食物繊維を含んだもの】
腸内環境を整えるには、食物繊維も欠かせません。食物繊維には水溶性のものと不溶性のものがあり、どちらも腸内環境を整えるのに大きな力を発揮します。
水溶性食物繊維を含んだ食物は、ワカメやヒジキのなどの海藻類です。ほかにも、ジャガイモや里芋といったイモ類、ライ麦や大麦などの麦類、熟した果物、キャベツ、ダイコンといった野菜類も水溶性食物繊維を多く含んだ食品です。これらの食物は腸内にある善玉菌の養分となり、腸内環境を整えるのに役立ちます。また、腸内の有害物質を吸着して対外へ運び出す役割も果たします。
不溶性食物繊維を含んだ食物は、大豆、ゴボウ、穀類、豆類などです。また、ココアも不溶性食物繊維を多く含んだ食物です。不溶性食物繊維は消化器官内で水分を抱え、容積を増やし、便のかさを増加させます。これにより、腸の蠕動(ぜんどう)運動が促されます。
しかし、食べ物で体を強くするということはとても時間がかかりますし、数日から数週間食べたぐらいですぐに体が強くなるかというと、そんな簡単なものではありません。また、食物の効果は人によっても異なるため、必ずしもすべての人の花粉症が和らぐわけではありません。
むしろ花粉の時期は「食べたほうがよい物」を急にたくさん食べるよりも、アレルギー症状を悪化させる可能性がある食べ物や飲み物を控えたほうが、効果的と言えるでしょう。
花粉症を悪化させないためにも避けるほうがよい食べ物とは
では、花粉症を悪化させる可能性がある「避けるべき食べ物」とはどういったものなのか、詳しく説明しましょう。
【果物】
花粉の時期に気をつけたいのが、果物のとり過ぎです。リンゴやメロンといったフルーツを食べて、口の中やのどがかゆくなった経験を持つ人も多いと思います。果物は健康的な食べ物として広く知られています。また、おすすめの食べ物として、熟した果物は水溶性食物繊維を多く含み、腸内環境を整える効果があると紹介もしています。ただ、その半面、アレルギーが多く出る食べ物としても有名です。
さまざまな研究が進められて、現在では花粉の種類とアレルギー症状を起こしやすい食べ物との関連もわかってきています。詳しくは食物アレルギー診療ガイドラインに掲載されていますが、「花粉・食物アレルギー」と呼ばれる症状があるので、普段果物が大丈夫な人も花粉の時期だけは適量に抑え、過剰摂取は控えるようにしましょう。
【トマト】
一部の野菜でもアレルギーを起こす場合があるので、食べ物アレルギーのある人は、一度専門医のもとで検査を受けることをおすすめします。
特に気をつけたいのはトマトです。スギ花粉と相性が悪く、スギ花粉に含まれるたんぱく質とトマトに含まれるたんぱく質が似ていることから、アレルギー反応を起こす可能性があります。
【エビ、カニなどの甲殻類】
甲殻類も果物同様、アレルギーを起こしやすい食材です。花粉症のひどい人は食べるのを控えたり、食べる量を少なめにするなど、注意したほうがいいでしょう。
【ファストフードや加工食品、レトルト、冷凍食品】
植物油を加工して作るマーガリンやショートニング、ファットスプレッドにはトランス脂肪酸と呼ばれる脂肪酸の一種が含まれています。このトランス脂肪酸は、アレルギー性疾患との関連性を指摘されています。花粉症対策としても、トランス脂肪酸が含まれるファストフードや加工食品などの摂取は、できるだけ控えるようにしましょう。
病気などの対策というと、すぐに「◯◯を食べると◯◯に良い」という方向に行きがちですが、避けたほうがいいものが多いのも事実です。これはどんな疾患にも言えることです。すでにお伝えしたように、食べ物で体を強くするということは根気のいる作業ですが、「体にとってマイナスの物を摂取しない」ということは、意外と効果が現れやすいものです。
花粉で悩む人は果物、甲殻類以外にも、体を冷やすような冷たい飲食物も控えておくと、くしゃみや鼻水のような、体が冷えた時に起こる症状の予防にもつながります。
花粉症の緩和のためにもバランスのとれた食事を
春先になると花粉症対策としてさまざまな食材が紹介されます。人によっては高い効果を得られる場合もありますが、個人差があるため、まずは専門医に診てもらう、相談するといった基本的な部分は忘れないようにしましょう。
また、サプリやトクホといった機能性食品など、いろいろな物を健康のためにたくさん取らせようとする風潮も少なからず存在します。ただ、やみくもに栄養をプラスする前に、体や症状にとってマイナスの物を取りすぎない工夫も欠かせません。食べたほうがよいもの、食べるのは避けたほうがいいもの、これらを踏まえたうえで、日頃からバランスの取れた食事をすることが重要なポイントといえるでしょう。
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