生活保護世帯の子どもが進学の機会を得るために 国は何をすべきか?
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生活保護家庭からは大学進学が難しい現状
生活保護家庭から東京大学に進学した大学生のブログが話題になっています。
一般に知られていないことかもしれませんが、生活保護家庭に育った子どもが大学に進学する場合、世帯を分離しなければいけません。
その結果、残された家族の生活保護費は分離した人の分、減額となります。
その額は5~6万円とのこと。
一家の保護費が減って迷惑をかけるのを恐れて進学に躊躇する子どももいるかもしれません。
それに関連して、全世帯における大学や専門学校等への進学率は70%を超えるのに対し、生活保護家庭では30%を程度というデータもあります。
今年1月26日の衆議院予算員会において、民進党の細野豪志議員が、安倍総理にこの話題について尋ねました。
生活保護受給家庭において、大学に進学する場合に世帯分離を強制することはおかしいのではないか、ということを主にぶつけたようです。
大学進学の場合に世帯の分離を求められることが大きな要因
現状の生活保護の制度では、高校は義務教育ではないのに進学することに対して世帯の分離は求められません。
「高校進学時の年齢は15歳であるのに対し、大学進学時は18歳になっていること」や、「高校は家から比較的近いことが一般的だが大学はそうではない」という違いは確かにあります。
ただ、15歳にしても18歳にしても未成年には変わりありませんし、高校から寮に入る人もいれば家から通える大学に通う人もたくさんいます。
大学等の場合だけ世帯の分離をしなければいけない根拠は乏しいように思われます。
家庭に恵まれた子どもは大学進学の際に、受験料、入学金、授業料、その他下宿代等必要な費用を親からの援助で全てを賄えますが、生活保護家庭ではそうはいかないのが現状です。
ギリギリの生活の中、家計からやりくりをしてもらって必要最小限の費用を捻出している様子は目に浮かびます。
経済的余裕のない家庭からでも大学進学を可能にするため国は動くべき
細野議員の指摘は、ある意味で正しくあると思います。
生活保護受給家庭の子どもが大学等に進学する際、世帯を分離し、一人分の保護費を減額する論理的な蓋然性はそれほど説得的ではないのかもしれません。
ただ、「ある意味」と言ったのは、仮に世帯分離をしなくても良いということになっても、生活保護受給家庭の大学等進学率が飛躍的に向上するのかという問題は解消するのでしょうか。
細野議員は生活保護受給家庭に限って問題提起されているようにみえますが(実際どうなのかは聞いてみなければわかりませんが)、果たしてそうでしょうか。
生活保護を受けていない家庭であっても、生活保護を受けている家庭と同等な生活レベルを余儀なくされている家庭であれば、高校卒業後、進学せずに家計を助けるために就職しようという発想を子どもがすることは十分あり得る話ではないかと思います。
細野議員は、生活保護受給家庭において大学等進学を諦めた子どもの中には、もし大学等に進学していれば将来立派になって結果として納税者として国家に貢献するではないか、という論調で主張を展開されていますが、それは何も生活保護受給家庭に限った話ではありません。
要するに、「能力はあるのに家庭に経済的な余裕がないため進学を断念せざるを得ない(と考えている)子どもたちのために、国が何かできることが無いのか」という提言であれば、まさにその通りではないかと思います。
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