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離婚届けを出す前に 養育費の取り決めについて知ってほしい3つのこと

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ひとり親世帯の貧困は深刻 だからこそしっかりとした養育費の取り決めを

東京都三鷹市は、子供の貧困対策の一環として、市役所に離婚届を取りに来た夫婦に子供の養育費の分担などについて事前に決めるよう求めるチラシの配布を始めたそうです。
最近の離婚届には養育費や面会交流の取り決めをしたかどうかのチェックをするようなフォームになっていますが、そこをさらに一歩進めた形となります。

「子供の貧困」という言葉を最近耳にすることもありますが、特にひとり親世帯の貧困は深刻な問題です。
平成26年子ども・若者白書によれば、ひとり親世帯の相対的貧困率は50.8%となっており、OECD諸国では最下位です。
実際に、親子共々衣食住や医療が十分とは言えないケースを目にしている私からすると、この数字はそれでも実態を十分に反映していないのではと思うくらいです。
このようなひとり親の貧困は進学率の低さを産み、貧困の連鎖を生み出しかねません。
だからこそ、「子供の貧困」と言われるわけです。

さて、養育費について皆さんに知ってほしいことをまとめてみました。

1 養育費はできる限り公正証書に

養育費を約束どおり払ってもらえるのであれば心配する必要はないのですが、中には口約束だけしておいて一向に振込なし…という場合も残念ながらあります。
そういう場合に差押えをすることによって、相手方の意思にかかわらず強制的に養育費をとる方法があります。
これは養育費が単に決まっているだけではすぐにはできず、調停調書などのほか、公正証書(強制執行について認諾する旨の文言がついたもの)の場合に差押えができるようになります。
協議離婚で養育費を決めた場合には、公正証書にすることをお勧めします。
公正証書は公証役場に電話をかけて内容を伝えれば、公証人が法的文書としてまとめてくれますので、お二人が法律に詳しくなくても支障はありません。

2 養育費を支払わなくていいと夫婦間で決めても請求できる

押し出しの強い相手方から「子どもに会わせなくていいから、養育費は払わないぞ」と言われ、ついつい了承してしまった場合でも、養育費は請求できます。
なぜなら、養育費は子どもが親に対して扶養義務の具体的内容として求める権利だからです。
ただ、注意していただきたいのは過去の未払い分をまとめて支払えとは請求できませんので、必要なタイミングで請求しましょう。

3 養育費の金額は変わりうる

養育費は監護している親とそうでない親の収入や他の扶養する家族の数が変動すれば将来的に変動します。
裁判所のウェブサイトには収入と扶養する子の数から養育費の金額の目安を見る算定表があります。
この算定表では子どもの養育に十分かという問題がないわけではないですが、両者で話し合う場合の目安にはなるかと思います。

政府では養育費についての相談支援活動を進めようとしているようですし、弁護士を通じて請求することで支払いが定期的に行われる場合もあります。
諦めないで是非相談してもらえればと思っています。

身近な相談相手として、問題を解決できる女性弁護士

白木麗弥さん(ハミングバード法律事務所)

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