再犯を防ぐ方法とその取組み
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誤解されやすい再犯率と再犯者率
犯罪統計に於いて「再犯率」という言葉が多く使われます。
皆さんは、どんな統計かご存知でしょうか?
「犯罪者」とは、罪を犯し有罪判決を受けた者を指します。
そして、犯罪者は、始めて有罪判決を受けた「初犯者」と二度以上の有罪判決を受けた「再犯者」に二分されます。
「再犯率」とは、後者を指した統計ですが、その中には二度だけでなく複数回に及ぶ者も含まれ、初犯者を含め無作為に抽出した対象者を長期的に追跡調査する必要があります。
また、似た言葉で「再犯者率(再犯罪者率)」があり、これは、有罪判決を受けた全ての犯罪者の内訳を示す統計です。
つまり、再び罪を犯してしまう割合が「再犯率」、有罪判決を受けた者の内、再犯者が占める割合を「再犯者率」で表します。
そして、文字にして1文字、音にして1音だけの違いが起因するのか、統計の意味と呼称に食違いが起こりやすいので、注意を要する統計でもあります。
再犯の実態と防止する活動
法務省の行った調査分析(昭和23年から平成18年までに有罪判決を受けた者から100万人を無作為に抽出)の結果、再犯者が占める割合は約3割に対して、対象者の犯した事件数を照らし合わせると、約6割の事件が再犯者によるもの(平成19年度版犯罪白書より)となっています。
この調査結果より、犯罪の少ない安全・安心な生活を送る為に、再犯を防止する活動は極めて重要であることが解ります。
そして、法務省では、職の有無(出所後の生活環境)によって再犯者率に3倍近くの差があることに着目し、企業(社会)と受刑者を繋ぐ拠点を本年11月に東京(さいたま市)と大阪の2ヶ所に開設すると発表しました。
名称は「コレワーク」と名付けられ、職業安定所の「ハローワーク」になぞって慣れ親しんでもらうことが狙いのようです。
この取り組みは、職業の斡旋ではなく、企業側の希望による紹介という形態になり、法律の規制だけではなく、就業先の理解や人間関係を含む就業環境にも再犯を減らす効果があることが覗えます。
再犯者を減らす為に欠かせないものとは?
なぜ、再び罪を犯してしまうのか?
本人の甘さが原因である事は、逃れられない事実です。
しかし、犯罪を計画しても実行し難しくなる手法があることをご存知でしょうか? 犯罪には3つの要素があり、それは「犯罪を企てる者、標的、機会」の3つです。
この3要素の内1つでも欠ければ、犯罪は起こりません。
そして、犯罪を防ぐ上で最も有効な事が「犯罪を企てる者から機会を奪う」ことです。
この度の法務省の取組みも、就業によって生活への安心を増やし、罪を犯す機会を減らすことが狙いです。
これは、生活環境の整備であり、環境が人にもたらす影響が大きいことを物語っています。
環境整備による犯罪予防とは、「割れ窓理論 -Broken Windows Theory- 」(「建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓もまもなく全て壊される」との考え方が名前の由来)や物理的環境と防犯活動を合わせた「環境設計による犯罪予防 -CPTED- 」に代表される、人の心理的特性(過去の犯罪や実験の実証を重ねた)を逆手に取った手法で、その効果は世界中で実証されています。
この手法の特徴として「規律を正す」と言った堅苦しいイメージが色濃く残りますが、音楽や香りなど精神を鎮静化させるヒーリング効果もこの理論を裏付けるものとして、様々な分野で実証が進んでいます。
しかし、環境整備だけで再犯(犯罪)が防止できる訳ではありません。
犯罪を専門とする法務省や警察機関に任せるだけではなく、社会全体が積極的に参加することで得られる「人と人の?がり」が、再犯の機会を奪う特効薬なのかも知れません。
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