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東証・大証統合による今後の上場審査の行方

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東証・大証統合。今後の上場審査基準および上場廃止基準

東証・大証統合による今後の上場審査の行方

7月16日、大阪証券取引所の現物市場は、東京証券取引所の現物市場に統合されました。これに伴い、大阪証券取引所の市場第一部、第二部に上場している銘柄を、東京証券取引所の第一部、第二部に上場するとともに、大阪証券取引所のJASDAQに上場している銘柄を、新設する東京証券取引所のJASDAQに上場するといった整備が行われています。

今後の上場審査基準および上場廃止基準について、市場第一部および第二部においては、東京証券取引所の制度が踏襲され、東京証券取引所に新設されたJASDAQについては、従前の大阪証券取引所のJASDAQの制度が踏襲されています。

3年の経過措置後に東京証券取引所の基準に合わせることが必要

上場廃止基準では、大阪証券取引所の方が、株主数、流通株式数、流通株式時価総額、売上高などで東京証券取引所よりも、その基準が緩いものとなっていました。例えば、株主数に関しては、大阪証券取引所が150未満に比べ東京証券取引所は400人未満、流通株式数では、大阪証券取引所が1年間に1000単位未満に比べ東京証券取引所は1年間に2000単位未満です。また、流通株式時価総額は、大阪証券取引所が1年間に2億5000万円未満に比べ、東京証券取引所は1年間に5億円未満などです。

このような東京証券取引所と大阪証券取引所で上場廃止基準が異なる場合には、3年の経過措置が設けられています。経過措置期間後には、東京証券取引所の基準に統合されますので、大阪証券取引所単独上場銘柄は、経過措置の期間内に東京証券取引所の基準に合わせることが必要となります。

東京証券取引所の審査の「くせ」に対応できるかが上場審査の鍵

また、今後の上場を目指す企業においては、東京証券取引所の基準に統合されるため、こちらの基準を満たすよう調整しなければなりません。従来の東京証券取引所の審査基準と大阪証券取引所の審査基準とで、基準自体をみれば大きな違いのないものも多く存在するところです。しかし、上場基準に適合しているかどうかの審査の運用面については、取引所によって厳しさが異なることもあります。証券会社の上場担当に話を聞いたところによると、取引所ごとに審査官の「くせ」というものも存在するようです。今後、東京証券取引所と大阪証券取引所の統合に伴い、審査官の人的な交流が進むと、審査も東京証券取引所が持つ「くせ」により近づいていくものと考えられ、基準に適合するかどうかの運用面への配慮も必要となるでしょう。

企業法務と事業承継支援の専門家

大西隆司さん(なにわ法律事務所)

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サイト売買に特化したM&Aアドバイザー

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