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自動車メーカーとIT企業の提携とその先に見えるもの

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自動運転開発競争にはIT企業との提携が不可欠

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自動車業界で現在最も注目されているのは自動運転です。
これまではグーグルやテスラモーターズなどの異業種参入企業の活動が注目されましたが、最近は既存の自動車メーカーがIT企業と提携して自動運転車を開発する動きが活発化しています。

海外ではBMWとインテル、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)とグーグル、等の提携が行われています。
国内でもホンダとソフトバンクは人工知能(AI)の研究開発で提携し、感情を持った自動車とドライバーとの対話実現を目指しています。
日産自動車が発売する「セレナ」に搭載された国内メーカー初の自動運転機能にはイスラエルのモービルアイの車載カメラ関連技術が採用されています。
トヨタは米国に人工知能技術の研究開発を行う研究施設「TRI」(Toyota Research Institute, Inc.)を設立し、現地の優秀な人材を採用しています。

IT企業と手を組む理由

自動車はIT化が進んだ製品であり、様々なセンサーが搭載され、従来の機械的な制御からソフトウェアによる制御への置換が進んでいます。
自動運転機能は自動車の様々な場所に配置されたセンサーから収集された膨大な情報をリアルタイムで処理して自動車の内外で起きている事象を認知し、適切に判断し、行動に移すというプロセスを自律的かつ継続して行います。

そのためには様々なセンサーをIoT(Internet of Things)によって接続し、収集した膨大なセンサー情報をビッグデータとして管理し、AIによって分析や学習を行うという、様々なテクノロジーを適用することが必要です。
こうした自動運転機能を実現するには、自動車メーカー単体で研究開発を行うよりも、IT企業が有するテクノロジーを活用した方が短期間かつ低コストだからです。

自動運転の先にあるもの

自動車の自動運転が実現した場合、単純に事故が減る、運転できなくても自動車に乗れる、といったこと以上の変革が期待されています。

その一つがライドシェア(相乗り)の分野です。
ライドシェア業者とは、自動車の相乗りをマッチングする配車ビジネスをスマートフォンのアプリで実現するプラットフォームを提供しています。
その代表的企業である米国のウーバーとトヨタが提携することを発表しています。
また、ゼネラルモーターズやフォルクスワーゲンも他のライドシェアサービス企業との提携を発表しています。
一見、自動車メーカーとライドシェア業者は利害相反するように見えます。
ライドシェアサービスの普及は、移動手段としての自動車を購入することなく利用できることになるため、自動車の売り上げ台数が減ることが予想されるからです。

しかし、自動運転が実現した場合、こうしたライドシェアサービスはドライバーを必要としない「無人タクシー」となり得ます。
利用者は自動車を保有しなくても、好きな時に好きな場所で、利用状況に応じた車種を選んで自動車を利用することができるようになります。
一方、事業者から見れば「無人タクシー」は人件費が掛からないため、低コストで24時間のサービスを提供することができます。
この「無人タクシー」と利用者とを結びつけるのがライドシェアサービスのプラットフォームです。
その結果、自動車は所有する資産からサービスを提供するツールとなります。
自動車会社の販売先の一部は、個人から「無人タクシー」のサービスプロバイダーへとシフトすることになるでしょう。

このように、自動運転の実現は自動車の在り方を変え、新たなサービスを創出するという社会的な変革を起こす可能性を秘めています。
これを支えるのがIT企業の保有するテクノロジーやプラットフォームであると言えます。

ITの有効活用・コスト見直しに強いコンサルタント

金子清隆さん(デルタエッジコンサルタント株式会社)

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