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ショーンK問題に見る学歴の呪縛

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学歴詐称でメディアへの出演を全面自粛

面接時に担当者が違和感を覚える、就活生の「ある行動」とは

テレビ朝日「報道ステーション」などでコメンテーターとして活躍していた経営コンサルタントのショーン・ マクアードル川上氏の学歴詐称が週刊誌により明らかにされました。

川上氏はテンプル大学の学位やハーバード・ビジネス・スクールのMBAは誤りであることを認め、ウェブサイトやラジオ番組で謝罪したうえで、メディアへの出演を全面的に自粛することとしました。

学歴を確認しなかったメディア側にも問題あり

嘘をついていたことは褒められたことではありません。
しかし、MBAなり何らかの学位が出演の前提条件であったとすれば、その確認を怠ったメディア側にも落ち度はあります。

学歴ではなく著書や講演など実績を評価したと言うのであれば、暴露記事が出るまで川上氏のコメントに対して何の疑問も抱かずにいながら、連日ワイドショーで面白おかしく揶揄するマスコミの見識も如何なものかと思います。

学歴や肩書きだけで人を判断するのは間違い

また世間一般の人々も、これまでフンフン頷いて「なかなか良いこと言うな」と思って聞いていながら、学位もないと聞いた途端に手のひらを返したように「何だコイツは」みたいに言ったり、「前からおかしいと思っていた」と後出しジャンケンするのも決して潔い行為ではないでしょう。

結局、良くも悪くも「人は見かけによらず」という面がありますから、学歴や肩書といった外形的属性ではなく、その人の言動から客観的に判断できるか、見る側、聞く側に本質を見抜く眼力が問われるのです。

日本の伝統社会が学歴主義を生み出してきた事実

川上氏が熊本の高校を卒業して上京し、その後アメリカやヨーロッパなどを渡り歩きながら独学で勉強した結果、専門的な講演やメディア出演を遜色なく努め上げるスキルを身に付けたのだとすれば、本来は堂々と胸を張ってそうした「学歴」を誇るべきだったのです。

実際、川上氏は自身が2008年に出版した自己啓発本「自分力」を鍛える(あさ出版)において、「学歴は必要か」という問いに対して「大事なのは「学歴」ではなく「学習歴」とし、これからの時代は〈座学ではなく実学〉」と答えています。

残念ながら日本の伝統社会では川上氏のような「非典型的な」キャリアを受け入れる土壌はまだ醸成されていません。
仮に川上氏が「学歴」を正直に開示していたら、どんなに素晴らしいコメントやプレゼンをしたところで、日本の大手メディアで採用されることは恐らくなかったでしょう。

皮肉なことに、先見の明がありながら川上氏自身も同様に学歴の呪縛から逃れられず虚構を重ねてしまったところに、昭和の教育を受けた人間の悲哀が垣間見えます。

欧米を見習い、学歴偏重ではない社会を作るべき

欧米の教育先進国では、高校を卒業して直ぐに大学へ進み4年で卒業するばかりではなく、偏差値やブランドに惑わされず興味あることを純粋に追い求めて自分仕様のカリキュラム組んでマイペースで学ぶという方向へ舵を切り始める人が出現しています。

実際、すでにネット上では世界最高水準の教育を何時でもどこでも、しかも無料で受けられるようになり、物理的な移動を伴わなくとも実質的に世界中を学遊することが可能になりました。
そうなると、どの大学へ行こうが、大学を卒業していようがいまいが、形式にはあまり意味がなくなります。

日本でも大学の卒業証書ではなくMOOCのコース修了証を30枚抱えて就活するような「非典型的な」若者を企業が躊躇なく採用するようになれば、日本の社会も活気を取り戻して世界との差を少しは縮めることができるのではないでしょうか。

21世紀型個別+自律教育のプロモーター

小松健司さん(21世紀教育応援団 アイパル)

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