18~19歳を「年長少年」として保護、少年法の適用年齢引き下げの意味
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18歳および19歳を「年長少年」として新たに保護する策を検討
先日、選挙権年齢の引下げに関連する事項として、自民党の「成年年齢に関する特命委員会」は、少年法の適用年齢を現行の20歳未満から18歳未満に引き下げると同時に、18歳および19歳を「年長少年」として「新たな保護策を設けることを検討する」との報道がありました。
ドイツではこの年長少年について、犯情や精神的成熟度などを総合考慮して、刑法を適用するか少年として扱うかを少年裁判所で最初に決め、少年として扱われることになれば「14歳以上18歳未満の者と同じ手続となる」という、柔軟な措置が講じられています。これを参考にすることで、少年法の適用年齢の引下げに慎重な立場にも配慮するようです。
現行法のもとでは、20歳未満の者に対しては原則的に少年法が適用されて保護処分の対象となり、例外的に刑事処分の対象となります。検討案では、年長少年については原則的に刑事処分の対象とされ、例外的に少年法が適用されて保護処分の対象となるわけですから、原則と例外を逆転させることになります。
精神的に未熟な若年に対しては刑罰を科すことに慎重な意見も
この少年法の適用年齢を引き下げることについては、日本弁護士連合会のみならず、各地の弁護士会がこぞって反対意見や反対声明を発しています。法律は、それぞれにおいて立法趣旨や目的が違いますので、法律の適用年齢を考えるにあたっては、法律ごとに個別具体的に検討すべきであるというものです。選挙権年齢が引き下げられたからといって、それに引きずられて少年法の適用年齢を引き下げる必要性はありません。
民法では成人年齢を20歳としていますが、養子縁組能力や遺言能力を15歳で認めていますし、未成年者喫煙禁止法や未成年者飲酒禁止法、風俗営業法などでも規制年齢が統一されていません。人格の形成途上で精神的に未熟な若年に対しては刑罰を科すのではなく、保護処分を行うことにより若年の健全育成を図り、再犯を防止できるということが反対論の大きな理由です。
家庭裁判所が取り扱っていた若者の約40%が保護処分の対象外に
少年法の適用年齢が18歳未満に引き下げられると、家庭裁判所が取り扱っていた若者の約40%が少年法の適用から外れて保護処分の対象外となります。そして、その成育歴や資質などを分析した上で施される、立ち直りのための手当てがなされないまま手続が終わってしまいかねません。
アメリカやドイツの統計的研究でも、刑事裁判を受けて釈放された若者の再犯率は、保護処分を受けて釈放された若者の再犯率よりも高く、若者を刑事処分の対象とすることが必ずしも再犯を防止することにはつながっていません。むしろ悪影響を及ぼして「犯罪傾向を強めることになるのではないか」といった報告もあるようです。
少年による凶悪犯罪に接するたびに「現行の少年法では甘い」という意見が出ますが、そもそも旧少年法の適用年齢が18歳未満とされていたにもかかわらず、若年犯罪の増加と悪質化が顕著になった状況を踏まえて、昭和23年に適用年齢を20歳未満に引き上げたのが現行少年法であるということを忘れないでいただきたいものです。
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