サッポロビール「極ZERO」を巡り国税当局と攻防、115億円は返還されるのか?
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サッポロビールが自主申告納付した115億円を返還請求
サッポロビールの人気発泡酒「極ZERO」をめぐる、115億円の酒税還付の是非が注目されています。昨年、サッポロビールが「酒税の適用区分を誤った(発泡酒を第3のビールとして販売した)」として、酒税115億円を自主申告納付しました。しかし、その後の社内調査で「発泡酒ではなく第3のビールだった」として、国税当局に返還を求めましたが今年1月、国税当局はその返還をしない旨の通知を行いました。
ことの発端は国税庁からの情報提供請求
昨年5月、当時人気だったサッポロビールの第3のビール「極ZERO」が急きょ販売中止になるという事態が起こりました。これは同年1月、国税当局が「極ZERO」の製造方法の情報提供を要請した際、サッポロビール側が「第3のビールではなく発泡酒である」として、発泡酒と第3のビールの酒税の税率の差額115億円に、延滞税1億円を加えて支払ったというものです。
酒税の適用区分を確認する目的で国税庁が要請したものを、サッポロビールが自主的に申告し直したのは、過少申告加算税が「ゼロ」になる自主修正を選択し、国税庁の調査による修正である場合の過少申告加算税11.5億円の支払いを回避したものと考えられます。
一度収めた税金が還付される場合、高い確率で税務調査を実施
酒税は申告納税制度により成り立っています。申告納税制度は、納税者の申告によって課税標準を確定し納税するものです。この制度は、国税当局が特段の疑義を持たない限りその申告通りに納税額が確定し納税がなされます。わが国においては、酒税のほか所得税や法人税、消費税などもこの制度に依っています。
一度納めた税金が還付される場合、かなり高い確率で税務調査が実施されます。還付申告により還付されると思っていた税金が、税務調査によって減額されたり、最悪納税になったりすることは多々あります。
サッポロビールにとって還付申請をすることは難しい状況
今回のサッポロビールのケースも、還付となると税務調査は必至です。サッポロビール側とすれば、もしも115億円の還付がされるとしてもハードな税務調査を考えると、喜んで税務調査を受け入れることにはならないと思われます。また、国税当局にしてみればサッポロビールによる自主申告の115億円は、そのまま受け入れれば良いのであって、多額の還付加算金をつけてサッポロビールに返還する選択はないものと考えられます。
本年度税制改正では見送られましたが、ビール関連の酒税見直しが検討されています。ビールの酒税を引き下げ、発泡酒や第3のビールの酒税を引き上げるというものです。ビール売上比率が高いサッポロビールにとっては、税制改正に与える影響を考えると、裁判に持ち込んでまでも還付申請をすることは「難しい状況にある」と言わざるを得ない状況なのです。
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