養子縁組制度で実現!異なる親子の愛のカタチ
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養子縁組制度には普通養子縁組と特別養子縁組の2つがある
日本には、古くから養子縁組制度があります。ここ最近、里親問題がクローズアップされていますが、養子縁組制度や里親問題にはどのような背景があるのでしょうか。
民法では、普通養子縁組と特別養子縁組という2つのタイプがあります。普通養子縁組は、縁組をすることにより養親・養子の間に法的な親子関係が発生しますが、実の親子関係も存続するものです。したがって、子は養親だけでなく、実親についても相続できる立場にあります。特に家督制度が存在していた頃には、普通養子縁組は「家」を守るために家督相続させたい相手を養子にしていたケースがあったようです。今でも、娘の配偶者を養子とする「婿養子」という話は耳にするでしょう。また、節税対策で養子縁組が使われるケースもあります。
再婚によって連れ子の養子縁組をするケースが増えている
また、再婚の増加に伴って増えているのは連れ子の養子縁組です。再婚すると事実上は新しいお父さん、お母さんができるように見えますが、法律上の親子関係は親の再婚ではなく養子縁組が必要になります。通常の未成年者の養子縁組の場合には、家庭裁判所の許可が必要ですが連れ子再婚の場合には不要です。
普通、養子縁組で注意をしたいのは、高齢者などの財産を狙って本人が十分意味合いを理解せずに養子縁組に応じてしまう場合です。最近は遺贈の場合、公証人が事前の確認をきっちりするようになったこともあり、養子縁組が悪用されるケースが見られます。養子縁組をする意思は、行為能力(法律行為をするのに必要な能力)がなくとも認められる場合があるからです。
特別養子縁組では実親との親子関係が消滅
さて、一方で特別養子縁組はというと、これはいわゆる「藁(わら)の上からの養子」というように、養父母を実親同様として親子関係を結ぶ制度です。特別養子縁組を結ぶと、普通養子縁組同様、実親から養親の戸籍に入りますが、普通養子縁組が親の記載箇所に実親の記載が残るのに対し、特別養子縁組では実親の記載がなくなります。
また、養子となる子が6歳未満であることが条件ですが、6歳未満から事実上養親と生活をしていれば、8歳未満までは特別養子縁組をすることができます。親の方にも条件があり、少なくとも片方の親は25歳以上である必要があります。ちなみに東京の児童相談所では、年齢の上限を50歳未満としています。
特別養子縁組は、児童相談所や民間のあっせん機関を通じて行うのが通常で、まずは顔合わせから始めて、最終的には家庭裁判所の審判を受けて養子縁組をします。一度特別養子縁組をすれば、離縁するのは余程の事情がなければ認められません。実親子がどんな事情でも親子関係をなくすことができないことを考えれば、当然といえるのかもしれません。
法的な親子関係を結ばずに愛情のもと、子どもを育てる里親制度
この制度と似た制度が児童福祉法に定められた里親制度(養育里親)で、これは法的な親子関係を結ばないのですが、事実上里親が子を養育して、愛情を持って育てられるための制度です。養育期間はまちまちで、数週間の場合もあれば、成年になるまで里親として養育する場合もあります。
これまでは保護者のいない子どもや保護者からの虐待により引き離された子どもは、児童相談所から児童養護施設で育てられるケースが圧倒的に多く、里親制度や特別養子縁組制度が大きく広がることはありませんでした。また法律上の制約はないのですが、「共働きでは里親になれない」など事実上の制約があるがため、今のライフスタイルからすると里親としてのハードルが高いということもあるのかもしれません。
ずっと子どもが欲しいと思っている人がたくさんいる一方で、育てられるのを待つ小さな命が少なからずいることを考えると、もっとマッチングに携わる機関があってもいいと思います。
身近な相談相手として、問題を解決できる女性弁護士
白木麗弥さん(ハミングバード法律事務所)
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