教員免許国家資格化より優先すべき教育改革
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教員免許を国家資格にすべきとの提言
昨年11月に文科大臣が中央教育審議会に諮問した次期学習指導要領では、21世紀に必要とされる「主体的に課題を見つけて解決に導く力」を学ぶ、いわゆる「アクティブ・ラーニング」を充実させるとしています。
これを受け、政府の教育再生実行会議は、アクティブ・ラーニングを実践するには教員の資質や能力の向上が不可欠だとして、教員の採用や研修などに国がこれまで以上に積極的な役割を果たすべきだとする提言案をまとめ、さらに自民党の教育再生実行本部は、教員免許を国家資格にすべきとの提言を出すと報道されています。
実は、既に前々回の「平成10-11年度に改定された学習指導要領」において、子どもたちが自ら学び自ら考える「生きる力」の育成が指針として示されており、アクティブ・ラーニングの原型となる考え方は20年近く前からあったことが分かります。
教員の大多数は真面目で誠実
それを今回あらためて持ち出しているのは、子どもたちに主体的な学習が思うように浸透していないことを暗示しており、政府・自民党による一連の動きはその一次的な原因は教員の能力不足にあると言っているようにも聞こえます。
しかし、難易度が高いとされる教員採用試験に合格している教員の一般教養や専門知識のレベルは、世間一般の標準以上だと考えて良いのではないでしょうか。そのうえ、聖職者としての責任もあり、教員の大多数は真面目で誠実だと信じて差し支えないと思います。
子供たちが主体的に課題を見つけて解決に導くアクティブ・ラーニングの実現を妨げている要因が教員の資質や能力でないとすれば、いくら新たな研修や資格試験を導入したところで、状況の改善は見込めないでしょう。
「受動型集団画一授業」に問題がある
子どもたちの主体的な学習の実現を阻んでいる最大の要因は、明治以来100年以上続く「受動型集団画一授業」です。日本では小学生の段階から、指定された教科書を使い、決められた時間割に従って、皆で授業を受けることを当然のこととして受け入れ、授業中は静かに座って先生の話を聴き、板書をノートに書き写すことが正しい勉強の仕方だと教えられます。
「自ら学び考える」と言いながら、すべて大人が決めた枠組みを子どもたちが追従するだけでは、主体的な要素は何もありません。この本質的な矛盾を打破して学習の主導権を子どもの手に渡してこそ、アクティブ・ラーニングと言えるのです。
中途採用の門戸を広げる等の策を検討すべき
ただし、生徒主導の学習を実現するには、教員の役割を大きく転換する必要があります。ただ単に教壇に立って教科書に書かれている内容を口頭で説明して板書する解説者の仕事は機械(動画)に任せ、子どもたちが各自の学力や目標に見合った個別カリキュラムで円滑に学習を進められるように導く、次元の高いサポーター役に徹するのです。
生徒一人ひとりの学習レベルやペース、性格、将来の目標等が異なるため、文字通り百人百様の対応が必要で、経験が大きくモノを言い、ICTの活用も不可欠です。子どもたちが社会で生きていく知恵を育むべき先生が、肝心の実社会での経験が乏しいのでは話になりません。
わずか数週間の教育実習だけで、大学卒業後いきなり担任を持たせるのは考えものです。民間企業であれば、新卒入社1年目の新人に重要顧客を担当させたりすれば、クレームを受ける場合さえあります。教員向けの新たな研修や資格試験を実施するよりも、民間企業への出向など教育現場外での実務経験を積めるような制度の導入や、民間企業での勤務経験を教育実習相当と見なして中途採用の門戸を広げる等の策を検討すべきでしょう。
21世紀型個別+自律教育のプロモーター
小松健司さん(21世紀教育応援団 アイパル)
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