少子化にも影響?家計を圧迫する教育費対策術
教育費負担増大が、少子化の理由の一つ
日本の少子化問題は、将来の日本のあり方に大きく影を落としています。家計の教育費負担増大が、少子化の理由の一つであることは言うまでもありません。2月20日、日本政策金融公庫は平成26年の教育費負担実態調査結果を発表しました。要点は以下のようになります。
1.自宅外通学の場合、高校から大学卒業までに必要な費用(入在学費用、仕送り額及び自宅外通学開始費用の合計)は約1,485万円。
2.年収400万円未満の世帯では、教育費の負担が4割に達する。
3.留学に前向きな世帯は多いものの、費用が障害になる。
家計に占める教育費の負担割合が、年々重くなっていることをあらためて認識させられる内容でした。人生の三大資金といわれている「住宅費・教育費・老後資金」の一つである教育資金の家計に占める適切な割合は、夫婦共働きで小学生の子供二人の場合、収入の約12%といわれています。
学資保険と併用可能な低解約返戻型終身保険
これだけお金のかかる教育資金を準備する方法として、学資保険を真っ先に思い浮かべる人が多いでしょう。加えてお勧めなのが、低解約返戻型終身保険を上手く利用する方法です。教育資金を貯める財布代わりにもなり、親に万が一のことがあった時でも、死亡保険金を使って教育費を捻出することができます。
ポイントは、想定期間より早期解約すれば、返戻金額が少なくなることです。しかし、これを逆手にとって教育資金の貯蓄をしている意識をしっかり持つことができます。
非課税措置やNISAを活用した教育資金の捻出
また、基礎控除が増えた相続税を軽減する手立てとして、最近注目されているのが「教育資金の一括贈与についての非課税措置」です。教育資金を祖父母から孫へ贈与する場合、1人当たり1500万円まで非課税になる制度で、2013年4月に始まりました。非課税枠が大きく、相続税の対象となる資産を効率よく減らせるとして活用する層が増えています。
教育資金は必要額をその都度渡すなら課税されませんが、この制度においては当面使わない分も含め、まとまった額を非課税で贈与できるのがポイントです。また、親や祖父母が亡くなっても、既に贈与した資金には贈与税がかかりません。注意すべき点は、いったん贈与すれば原則として後で取り消せないことです。祖父母の代の今後の生活費をきちんと把握した上で、実行に移すことが大切です。
また、2016年4月1日から「子ども版NISA」が運用開始予定です。その概要は、最大年間80万円の投資で得た利益が、5年間非課税になる制度です。両親や祖父母が未成年者に代わってお金を出し、上場株式や投資信託などに投資することを想定しています。
教育費を「聖域扱い」せずに費用対効果を考える
各種制度を活用するだけでなく、教育関連費用自体をセーブすることも大切です。教育に対する考え方は、家庭ごとにさまざまですが、むやみに教育にお金をかけることが良い教育につながるとは限りません。子供の可能性を信じてあれこれ習い事に時間とお金をかけた結果、結局何にもならなかったという例も散見します。
母親のパート勤めによって増えた収入で教育費をカバーしようと考えても、かえって保育料や送迎費用がかかり、稼いだ分より費用が上回るようでは本末転倒です。教育費についても費用対効果を考え、家計の中で「聖域扱い」しないことが重要ではないでしょうか。
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中村伸一さん(株式会社マネーデザイン)
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