熾烈を極める自動車の年度末商戦、そのワケは?
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4月以降、自動車取得税などの取得関連税が増税される見通し

自動車や電機をはじめ主要企業の今春のベースアップが過去最高を記録。そして、15年ぶりに日経平均株価が19,500円を超え、いよいよアベノミクスも本物になってきたという期待感が高まっています。
年度末に向かって売り上げを確保しようとラストスパートをかけている国内企業各社ですが、3月末までに1台でも多くの車を売ろうと自動車販売会社は熾烈な年度末商戦を繰り広げています。
自動車販売店が目の色を変えて3月末までに車を販売しようとするのには理由があります。新年度(平成27年4月)以降、一部のHV(ハイブリッドカー)を除き、軒並み自動車取得税などの取得関連税が増税(実際には、減税幅の圧縮)される見通しだからです。平成27年税制改正により、エコカー減税をはじめとする自動車関連税の増税により、新税制が適用される4月以降の販売減を危惧しているのです。
HVであってもエコカー減税の恩恵は少なくなる
例えば、トヨタのアクアやプリウス、ホンダのフィットHVなどは平成27年4月以降も購入時の税負担に変化はありませんが、人気ミニバンであるニッサンのセレナSハイブリッドは62,200円負担増、ホンダのオデッセイは74,900円負担増などとなっています。HVであってもエコカー減税を100%受けられるとは限らなくなりました。
また、コンパクトカーといわれるトヨタのヴィッツやニッサンのノート、ホンダのフィット(ガソリン車)も軒並み1万円~2万円台の負担増となります。軽四自動車に手を伸ばそうと思っても、こちらも増税負担があり、中でも車両重量の重いものは増税となるのです(増減税額は同じ車種でも車両重量により変わります)。
税制改正を絡めた排気ガス規制が新技術開発を促す
国交省は、排出ガス性能および燃費性能に応じた特例措置(いわゆる「自動車取得税・自動車重量税のエコカー減税」)について、対象自動車に係る燃費性能に関する要件などの見直しを行った上、その適用期限を2年間延長するとともに、自動車重量税の本則税率の適用となる対象自動車の範囲の拡大を行うとしています。従来の平成27年度燃費基準値の平均20%増しの燃費効率を達成しなければ、エコカー減税を100%は受けられないこととしたのです(ただし、基準を満たせば80%~20%の減税は適用されます)。
世界一、排ガス規制が厳しいといわれるアメリカ・カリフォルニア州では、トヨタプリウスでさえ優遇対象ではなくなっています。HVであっても排気ガスを排出しながら走行します。電気自動車(EV)やHV車より排ガスの少ないプラグインハイブリッド車(PHV)にしか優遇措置を認めていないのです。
カリフォルニア州ほどの行き過ぎた排ガス規制をするかどうかは別として、日本でも自動車業界との間で税制改正を絡めた排気ガス(燃料効率)規制により技術開発を促していきそうです。
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