「ゆとり教育」は間違いだったのか?
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文科省が「ゆとり教育」の方針に欠陥があったことを認めた
2月12日、文部科学省は「小学生の定着度合いを調べた実施状況調査」の結果を公表しました。この結果は「脱ゆとり」と呼ばれる現行学習指導要領の成果を見定める一つの参考になるものですが、旧指導要領だった2005年公表の前回調査より学力、学習意欲ともに向上が見られました。
同省は「新課程の狙いが着実に浸透している」と分析しており、学力・学習意欲の測定においては、実質「ゆとり教育」の方針に欠陥があったことを認めたことになります。
ディベート力も論理構成力も、基礎学力に基づいたもの
そもそも「ゆとり教育」とは何だったのでしょうか。簡単に言えば、知識の暗記に費やしていた時間を一部削って、生徒の自主的な行動に支えられた「考える力」を伸ばそうとする教育です。
生徒の勉強の負担を減らし、その分、心の余裕を確保し、より自由な発想を育む。このことは、国際社会で通用し得る真の学力形成が求められる現代では、決して間違った方向ではありません。しかし、海外で求められるディベート力もユニークな論理構成力も、基礎学力に基づいたものであるという点が、「ゆとり教育」では軽視されていたと言わざるを得ません。
ゆとり教育によって、オリジナル性の高い発想がどんどん生まれるかのように説明した文部科学省をはじめとする教育行政の責任は少なくないはずです。
「詰め込み型教育」へ逆戻りしても問題を解決することはできない
では、これから教育はどうなるのか。1970年代までの日本の教育現場で取り入れられていた「詰め込み型教育」へ逆戻りするのでしょうか。詰め込み型教育は、基本的な内容を暗記し続けることによって、頭の中に多くの知識を残し、覚えるクセを身につけることや、想像(創造)するための材料を蓄積することに狙いがあります。生徒の習熟度を画一的・客観的に点数化しやすいというメリットがありますが、「学習意欲の維持が困難」というデメリットもありました。
やはりAとBを比べて、「Aがダメだから次はB」「Bもいまいちだから、やっぱりAに戻す」というような単純な論理では、いつまでたっても日本の教育にはびこる諸問題を解決できないでしょう。
「受動学習」から創造力を伸ばす「能動学習」への転換期が迫る
現在の学校教育の基本形は、明治時代に遡ります。その背景には「富国強兵」という我が国の政治的・経済的事情がありました。欧米に対して早急に近代化を進めるために、一定の知的レベルの形成や、エリートを選抜し政府の役人や軍隊の指揮官を育てるための画一的な教育方法が行われました。これが現在でも行われている義務教育制度です。
これからの情報化時代、日本人として世界をリードする人材を育てるためには、創造力育成教育が必要だと考えます。これは詰め込み型教育や脱ゆとり教育で解決できるものではありません。従来の一斉指導方法による「受動学習」から、創造力(考える力)を伸ばす「能動学習」に転換しなければなりません。能動学習を行うための自立学習支援eラーニングの活用など、根本的な教育スタイルの転換期が迫っています。
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