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スカイマーク破綻から見る航空事業経営の難しさ

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スカイマーク破綻やLCCの経営難から経営の難しさが浮き彫りに

スカイマーク破綻から見る航空事業経営の難しさ

1998年、スカイマークとAIRDO(エアドゥ)が新規参入し、JAL、ANA、JAS3社の寡占であった航空界に風穴を開けて15年。そのスカイマークが、破綻したというニュースが飛び交いました。それまでの運賃の半額という衝撃的なデビューと、それを迎え撃つ形になった既存航空3社がスカイマーク運航時間帯に特割で対抗し、「弱いものいじめ」として話題になったことが思い出されます。

紆余曲折はあったものの、スカイマークとAIRDOの新規参入が、その後のLCCの先駆けとなったことには間違いなく、当時の規制緩和の目的の一つである「多様なサービスの提供」は、達成されたと表現できます。しかし、今回のスカイマークの破綻や多くのLCCが黒字体質になれない実態から、あらためて、航空事業を経営する難しさが見えてきます。

「この料金で安全は確保されるのか」との不安は付きまとう

「顧客の支持」という点から見れば、発着空港の場所、時間などの不便さや手荷物の追加料金などの不満はあっても、15年前の「スカイの半額」を大幅に超える格安料金は今後も魅力的です。しかし、「就航する航空機種を一つにする」「客室乗務員が機内清掃を行う」など、コストを下げる改善、工夫を行っているものの、収支は改善されません。

また、顧客から支持を受けていたとしても、「この料金で安全は確保されるのか」といった不安は付きまといます。これまで、定期採用や未経験者採用を行っているLCCはあるものの、主要な部門は既存航空会社のOBと現役社員の引き抜きで補い、会社にとって最も大切な社員の教育・訓練をさほど行わずに航空会社を運営することができました。このような中で「安全」が保たれてきたのは、航空当局の厳しい目(監督や指導という広い意味での規制)が最も大きな要因です。

航空会社がリスクを抱えていることを経営者は肝に銘じるべき

例えば、昨年のスカイマークの新機材、エアバスA330の大幅な就航遅れ、春秋航空の就航の遅れ、そして、ジェットスター・ジャパンの関西空港の第2ハブ化が当初の予定から1年半以上かかったのは、いずれも整備や運航といった「安全」に対する認可が下りなかったことが原因です。この事例を見ても、規制緩和で新規参入が可能でも「空の安全は絶対に守る」とする当局の強い思いが伝わってきます。

以上のように、LCCが「顧客の支持」を受け続けるためには、企業として十分な投資ができる体質づくりと、安全を何よりも優先する取り組みが絶対的に必要です。今回のスカイマーク破綻の原因が事故でなかったことは救いですが、航空会社がさまざまなリスクを抱えていることを経営者は肝に銘じるべきです。

ヒューマンエラーやマネジメントを中心とした人財教育の専門家

島本長範さん(CIMA人財教育開発)

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