3Dプリンタは歴史的産業革命を生むか
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アメリカ・オバマ大統領も注目する3Dプリンタ
3Dプリンタという言葉を、さまざまなところで目にするようになりました。普通のパソコン用プリンタが平面の上に文字や絵をプリントするのに対して、3Dプリンタは平面に樹脂などの材料で描いた断面を何層も積み重ねていくことにより、立体形状を作り出します。最新鋭の技術が新たな産業革命を引き起こすのではないかと世界的に注目されています。
3Dプリンタは当初、「ラピッドプロトタイピング装置」と呼ばれ、実は1970年代から研究開発が欧米や日本で始められた比較的古い技術なのです。それが最近、特に注目されてきた原因は、ひとえに、昨年出版されたクリス・アンダーソン氏の著作「MAKERS~21世紀の産業革命が始まる~」のお蔭だと思います。この本で著者は、工業製品をつくる作業が工場だけではなく、一般家庭においても可能になったことを、アメリカの現状の取材のもとに指摘しました。つまり、手元に3Dプリンタさえあれば、ちょっとした立体形状は高価な金型を使わずとも、安価に、また短時間に個人レベルでも製作可能になったのです。
また、アメリカのオバマ政権が今年の一般教書演説で、アメリカの「ものつくり力」復権の戦略として3Dプリンタを取り上げたことも注目度を飛躍的に挙げた理由でしょう。
インターネットに続く革命に、日本の戦略的な対応が求められる
時宜を得て、今年6月東京で開催された、「日本ものづくりワールド2013」では、3Dプリンタのオンパレードでした。出展品をみると、試作品のみならず、量産品に耐ええるものや複雑な組み合わせ形状のものまで製作可能で、3Dプリンタの技術進歩を見せつけられました。価格も10万円代の家庭用まであり、まさにビジネスとしての「ものつくり」が、個人レベルにまで手が届いてきた感があります。
この状況は、パソコンやインターネットの出現が、高価な情報処理技術や通信手段を個人レベルに解放したのと同様に、これまで高額な投資が不可欠であった製造業を個人レベルまで解放する可能性があります。そして、アイデアさえあれば、三次元設計ソフトを用いてパソコン上で設計し、それを3Dプリンタで量産するという、次世代の工場がどんどん出現してくるかもしれません。こうなれば、インターネットに続く革命になるのではないでしょうか。
アメリカはこの潮流を敏感にとらえ、先陣をきりました。ものつくり王国たる日本として、アメリカに先んじられたことはとても残念ですが、この流れに遅れることなく、日本の製造業復権を目指し、我が国が戦略的に対応してくれることを切に願います。
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