将来、年金はもらえるのか?老後を守る「じぶん年金」のすすめ
年金保険料なんて払わない方が得?実はそうでもない年金の中身
先日、国民年金の保険料納付率が7年振りに上昇したとのニュースがありました。しかし、依然として目標とする納付率6割は未達のままです。また、公的年金は「相互扶助」という現役世代の保険料で今の高齢者の生活を支える仕組みのため、少子高齢化が大きな問題となっています。なにしろ1950年代には「お神輿型」と呼ばれ、年金は多くの若者で支える公的保障制度だったのが、今や「騎馬戦型」と言われ、数名の若者で高齢者を支えています。そして近い将来、これが「肩車型」となり、若者一人で一人の高齢者の生活を支えなければならない状況になると言われています。このような見通しにネガティブな感情を持ってしまうのも当然といえば当然でしょう。
しかし、「年金保険料なんて払わない方が得」と考えるのは早計です。なぜなら、年金制度には、年をとってからもらえる老齢年金の他にも、一家の大黒柱が亡くなった際の遺族への生活保障(遺族年金)と、重い障害を背負ってしまった際の生活保障(障害年金)の3つの役割があるからです。誰しもが等しく抱えるリスクを国民全体で支え合う仕組み、それが年金制度なのです。公的年金制度が本当になくなっても良いのか、一人一人が考える必要があるかもしれません。
厚生年金保険料を国に払わず自身で積み立てたとしたら・・・
先日、ちょっと気になることが週刊誌に取り上げられていました。会社が支払う厚生年金保険料を国に払わず給与としてもらい、それを自身で積み立てた方が、いつ崩壊するかもしれない国の年金に預けるより安心なのではないか、というものです。
例えば給与30万円に対し、会社と本人とが労使折半で年金保険料を納めています。この額合わせて約5万円。もし30年間、このお金を自身で積み立てたら1,800万円にもなります。確かに老後の資金として、まとまった資金を作ることができます。しかし、現行の国のルール通り、給与30万円に対して30年間労使折半で約5万円の厚生年金保険料を支払ったとしたら、65歳から受け取れる公的年金額は約120万円。85歳まで生きれば2,400万円ものお金を国からもらえる権利があるのです。
しかも、老後の暮らしに必要なお金は、月30万円程度と言われています。仮に公的年金がもらえなくなり、自身で積み立てた先ほどの1,800万円から月々30万円ずつ取り崩すことになったら、わずか5年分にしかなりません。なんとか1,800万円を85歳までの20年間もたせようとすれば、月々取り崩せるお金は75,000円。差額は死ぬまで働き続けることで埋め合わせしなければなりません。
自身の老後は自分で守る時代に。「じぶん年金」が鍵をにぎる
将来、公的年金が本当にもらえるかどうかは現時点ではわかりません。でも事実として明らかなのは、現在の公的年金制度が多くの問題を抱えており、それら全てを解決するのはとても難しいことと、そしてどんなに頑張っても、公的年金だけで高齢者全ての豊かな生活を約束することはほぼ不可能であるということです。
そんな中で、何をすべきか?それは国の事情に左右されない「自分だけのじぶん年金を作ること」です。特に確定拠出年金は税制優遇があり、特別に有利な制度です。今すぐ取り組むことをオススメします。なぜなら、自身の老後は自分で守らなければならない、これもまた事実だからです。
年金・資産運用に強い独立系ファイナンシャルプランナー
山中伸枝さん(株式会社アセット・アドバンテージ)
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