延滞金利引き下げ、返還期限の猶予も 奨学金は「借金」のまま
- カテゴリ:
- お金・保険
「貸与」の奨学金は、いわば「借金」

奨学金を利用する学生が増えています。しかし、大学卒業後に就職先がない、あるいは、非正規採用などの理由で経済的に苦しく、奨学金の返還ができないケースも増加しています。奨学金制度には「給付」と「貸与」があります。「給付型」であれば返還義務がありませんが、「貸与」の場合は一定期間内に返還しなければなりません。いわば「借金」です。日本で奨学金といえば、「日本学生支援機構」の奨学金をさすことが多く、「貸与」にあたります。無利子(第一種)と有利子(第二種)があり、誰もが無利子で利用できるわけではありません。その他、地方自治体や民間企業、あるいは学校独自で奨学金制度を設けているところもあり、「給付型」も見られますが、あまり一般的でないのが現状です。
延滞金利を5%程度に引き下げ、返還期限を猶予も・・・
「貸与」では、返還が滞れば延滞金が発生します。日本学生支援機構の場合、現在は延滞金利が10%ですが、早ければ来年にも金利が5%程度になることが決まっています。とはいえ、この低金利時代に金利5%とは驚きです。また、平成24年度以降の大学院を除く第一種奨学金採用者で、一定の基準を満たし、所得が基準以下のものに対し、卒業後に一定の収入を得るまでの間は、返還期限を猶予する制度(所得連動返還型無利子奨学金制度)が新設されました。ただこれも、「貸与」であることには変わりありません。
政府としても「給付型」の大学生向け奨学金の創設には前向きなようですが、今後の国の財政事情によるところが大きいでしょう。それに、たとえ「給付型」が創設されたとしても希望者が全て利用できるわけではありません。
「奨学金」という借金を背負ってまで進学すべきかどうか
親としては、子どもが社会人になった瞬間から借金を背負わなくても済むように、早い段階から計画的に教育資金を準備しておく必要があります。現実的には親世代の給与水準も下がっていますので、全てを準備することは難しいことでしょう。よって、子どもが小さなうちから夫婦でしっかりとした教育方針を持ち、子どもが大きくなったら家族全員で家計の状況と進路について話し合う時間を持つべきだと考えます。
日本では、たとえ家族であってもお金の話をすることを嫌います。しかし、子どもと家計についてしっかりと話をし、「奨学金は借金である」ことをきちんと自覚させ、自分の将来について子ども自身が考えることが大切です。「とりあえず大学くらいは行っておかないと」。そんな時代ではないのです。
子育て中の女性目線を大切にする家計とお金のプロ
北村きよみさん(合同会社エベッサコンサルティング)
関連するその他の記事
夢を叶えたいなら、「収入」より「お金の残し方」に目を向けよう

新井一さん
稼ぎ力を引き出す起業支援キャリアカウンセラー
サラリーマン勝ち残り戦略:起業×投資で切り開く新時代の資産形成術

新井一さん
稼ぎ力を引き出す起業支援キャリアカウンセラー
従業員が“お金の不安”を抱えている? ― 福利厚生としての金融教育のすすめ ―

吉井徹さん
法人財務と個人資産の最適化を同時に図るお金のプロ
進む賃金のデジタル払い!賃金支払いの5原則と賃金デジタル払いとの関係は?

小嶋裕司さん
就業規則の整備による人事労務問題解決社労士