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沈むマクドナルド、75億円赤字転落の要因

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下落傾向はチキンショック以前から続いている

マクドナルド

日本マクドナルドホールディングスは2014年1月~9月期連結決算において、最終損益が75億円の赤字になったことを発表しました。経常赤字は1973年度以来で、2001年の上場以降では初めてとなります。その主たる要因を「上海福喜問題」いわゆる“チキンショック”と説明していますが、問題の本質はそこにはなく、より深刻だと考えられます。

確かに2014年7月のチキンショックによる既存店売上高の落ち込みは顕著ですが、下落傾向は2012年より続いているのです。2013年4月には地域別価格を導入して収益性改善に取り組みましたが、結果として「マクドナルド離れ」を加速させました(客数が減っている)。また、最も深刻なのは、連結営業利益率が2012年の8.4%から2013年は4.4%と低下しており、2014年予測でマイナスに転じることだと言えます。

リピートの増減はブランドロイヤルティーに関係している

飲食業では「最高の顧客体験」を提供し、リピートされることが継続的発展の大前提であり、新メニューや価格政策で一時的に客数や客単価を伸ばすことはできても、リピートが減ってしまうと立て直しは困難になります。

リピートの増減はブランドロイヤルティーと相関しています。そして、どのようなサービスであろうとブランドロイヤルティーに最も影響を及ぼすのは顧客体験の質です。「店に入り、オーダーをし、支払いをし、商品を待ち、席で食べ、会話を楽しみ、ごみ箱に捨て、店を出る」。そうした一連の行動の中で、「いいね!」という感情がどれだけ生じるかで決まるのです。チキンショックの影響だけでブランドが落ちるとまでは考えがたく、ブランドロイヤルティーが高ければ、むしろマクドナルドは中国食料業界の被害者として応援されたかもしれません。

東洋経済オンラインの「マクドナルド、原田体制の完全なる終焉」では、以下のように社長交代と業績の悪化について分析しています。「サービス産業生産性協議会が行っているJCSI(日本版顧客満足度指数)によれば、2010年の調査では外食企業21社中、 マクドナルドの顧客満足度は14位、ブランドへのロイヤルティー(同じブランドを複数回購買する程度)は2位だった。だが、2013年にはどちらも27社中、最下位となっている」。ここからも、チキンショックの前にブランドロイヤルティーが失墜していたことがわかります。

「顧客接点数」は、財務諸表に表れない企業の資産と考えるべきです。毎日何人が店舗に入り、マクドナルドに触れ、商品を食べているかを想像してみてください。その一つ一つの機会でファンを獲得できているとすれば、資産価値は計りしれません。その資産が劣化したこと、即ち現場力が落ち、店づくりができていないことが今回の赤字の真因であると考えられます。

マクドナルドは今一度、原点に立ち返るべき

成熟市場においては、労働生産性の高い店舗に資源を集約し、戦略的に新陳代謝を図っていくという政策が必要です。その方が給与水準を維持でき、優秀な人材を集め成長サイクルをつくっていけるからです。それに対し、マクドナルドが採用してきたFC化比率を高める戦略はマッチしません。

FC展開はサービスの普及スピードを速める上では有効ですが、現場力を高めるという観点では難易度が増します。本社施策で24時間営業や全店禁煙などの施策を展開しても、店舗間の乖離は大きく、新陳代謝を進めるにもFCオーナーとの深い信頼関係が必要になります。

以上のことからも、マクドナルドは今一度原点に立ち返るべきだと言えます。確かに新メニューや価格政策、店舗改装も必要ですが、現場力を回復する前では、砂漠に水を撒くような不毛な戦いになります。最も大事なことは現場の社員がマクドナルドを愛し、最高の顧客体験を提供することに集中できる環境を創ることです。マクドナルドの復活に期待します。

安澤武郎

組織変革コンサルタント・マネジメントコーチ

経営コンサルタント

安澤武郎さん(ペネトラ・コンサルティング株式会社)

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