DJポリスに学ぶ 相手の心をつかむ話術
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一躍、時の人となったDJポリス
FIFAワールドカップ ブラジル アジア地区最終予選「日本VSオーストラリア」で日本代表がワールドカップ出場を決めた夜、興奮したサポーターや通行人でごった返す東京・渋谷のスクランブル交差点で、雑踏警備にあたった一人の若き警察官が注目を集めました。
マイクを手に警察車両の上から呼び掛ける巧みな話術に導かれ、大きな混乱もなく、怪我人を出すこともなく、大群衆はスムーズに帰路につきました。誰が名付けたか、彼は「DJポリス」と呼ばれ、負傷者・逮捕者ともにゼロという功績に「警視総監賞」が授与されたそうです。
DJポリスの言葉はなぜ、若者の心に響いたのか
DJポリスが若者の心をつかんだ最大のポイントは、DJポリスがメッセージを伝えるべき対象をしっかりと見極め、彼らと同じ視点に立っていたことです。DJポリスの使命は、「混乱を未然に防ぎ、群衆を安全に誘導すること」。使命を果たすためには、聞いてもらわなければ話になりません。まず、「おやっ」と耳を傾けてもらうために、こんな言葉を発しました。
「ここにいる皆さんは、12番目の選手です」
「お巡りさんも実は皆さんと気持ちは同じです」
雑踏警備にあたっている自分たちも、サポーターと同様に日本代表のワールドカップ出場を喜んでいるのだと、メッセージを伝えるべき相手と共通の土台に立ち、視点を合わせています。そして、自分たちの共通の目標を示しています。
「皆さんが怪我をしては、日本代表のワールドカップ出場は後味の悪いものになってしまいます」
さらに、そのために取るべき行動を、相手と共通の言葉で伝えているのです。
「フェアプレーの日本代表のサポーターにふさわしい行動を取ってください」
「日本代表のようにサポーターの皆さんのチームワークを見せてください」
相手を聞く気にさせるためには、自分の言いたいことを自分の論理で一方的に話すのではなく、相手に合わせて戦略を練ることが必要なのです。
プレゼンテーションの極意は「何のために伝えるのか」「誰に伝えるのか」
このことはビジネスシーンなどにおけるプレゼンテーションでも同じことが言えます。相手の心のストライクゾーンに投げ込むためには、まず、「何のために伝えるのか」「誰に伝えるのか」と、目的と対象を自分の中で確認します。
そして、「何を伝えるのか」です。メッセージを、その対象に向けて発信することで、理解してもらいたいこと、納得してもらいたいこと、行動を起こしてもらいたいことを、相手に「伝わりやすい言葉」と「関心を持って聞いてもらえる構成」で伝えます。できるだけ、対象を具体的に思い描くことで、相手の心に響くメッセージを発信することができ、しっかりと受け止めてもらえるはずです。
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