「外国人は生活保護法の適用外」最高裁判決を読み解く
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外国人が生活保護を利用できなくなるわけではない
日本に永住、在留する外国人が減少する中、生活保護を受ける在留外国人が増えています。昨年には最高裁において「外国人は生活保護法による保護の対象にならない」という判決もありました。大分市の永住資格を持つ中国籍の女性が生活保護の申請をしたところ、「相当の資産がある」との理由で却下した市の処分が違法だとして、処分の取消を求め提訴したという事件です。
この判決は「外国人は生活保護を利用することができない」と最高裁が判断したというわけではありません。生活保護法1条2条において「国民」と明記されているということから、最高裁は、外国人には「生活保護法」の適用・準用がされないとしました。
そして、昭和29年の「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」という(当時)厚生省社会局長通知によって外国人も「日本国民に対する生活保護の決定実施の取り扱いに準じて」必要とされる保護が行われており、これは(法に基づく受給権としてではなく)行政措置として行われているとしました。
生活保護の審査自体は、外国人と日本人とで区別されていない
なお、生活保護の審査自体は、外国人と日本人とで区別されているわけではなく、現実に多くの外国人が生活保護を利用しています。(2012年度において外国人を世帯主とする生活保護受給家庭は約4万6千世帯。本件の中国籍の女性も、その後の申請においては、生活保護の措置が開始されています)。
「行政庁の処分」に違法がある場合、その取消を求めて不服申立・行政訴訟を提起することができます(行政事件訴訟法3条等)。ここでの「行政庁の処分」とは、法律上の権利義務に直接影響を与えるものであることなど、特別の要件が必要です。
外国人は不服申立等ができない
日本人が生活保護法に基づく申請を却下された場合には、法律上の権利義務に影響を与える「行政庁の処分」として、不服申立をできることになります。
しかし、外国人の場合は生活保護法に基づく法律上の権利ではなく、事実上の保護を行う行政措置でしかないと解されたため、「行政庁の処分」にあたらず、申請が却下されても、不服申立等ができないこととなります。
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