男性の育休取得がもたらす会社のメリット
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会社側のメリットが見えなければ、男性の育休取得率は上がらない
政府は男性の育児休業取得率を、2020年までに13%以上にするという目標を立てています。しかし、一向に取得率は上がりません。取りにくい、取らせたくないという力が働いている中、男性が育児休業を取ることで、会社にメリットはあるのでしょうか。メリットが見えなければ、なかなか取得率は上がりません。
会社のメリットは以下、大きく分けて3つあるでしょう。
①女性の家事・育児の大変さがわかるようになる。
②だらだらと、意味の無い残業が減る。
③女性の活躍の場が増え企業が活性化する。
①の「女性の家事・育児の大変さがわかるようになる」では、子育て中である女性の部下・同僚への理解が進みます。少子高齢化と最近の景気回復とともに人手不足が顕在化してきた今、女性を上手く活用していくことが企業にとっても不可欠です。そんな中、女性の家事・育児に理解を示す男性が企業に増えることは、女性にとって働きやすい職場につながり、妊娠して退職を余儀なくされる心配がなく定着化が促進されます。
②については、効率的に働くことで十分休みが取れることを理解できるようになります。結果、意味のない残業が無くなり、企業としても残業代の削減になります。③については、何と言っても男性が育児休業を取りやすい企業は、男性だけでなく、全ての人にとって働きやすい、魅力ある企業として就職人気も上がり、優秀な人材の確保が期待できます。
男性の育児休業取得を阻む壁を打破できるかどうか
男性の育児休業取得にはメリットがあるものの、それを阻む大きな壁があることも事実です。それが、下記の2点です。
①まだまだ男は仕事、女性は家事・育児という考えが根強くあること
②休業を取ることで、昇進・昇格が遅れるのではないかという不安
①については、「男は仕事」という価値観の下、新卒一括採用後、長時間労働による忠誠心を評価してきたことで、男性が家事・育児に参加する時間が取れない現状があります。②については、職務等を定期的にローテーションして経験を積むことで、次の昇進や昇格へのステップとしてきたため、育児休業取得でそのローテーションから外れてしまい、昇進や昇格の機会を逃してしまう、という意味です。これらを払拭するためには、日本の人事制度の大転換を図る必要に迫られます。この大きな壁を打破しない限り、男性の育児休業取得率は上がりません。そもそも、「男は仕事」「女は家事・育児」という考え自体を社会全体で変革しなければなりません。
また、長時間労働を忠誠心として評価するのではなく、実力を評価するという仕組みに変えていく必要もあります。さらに、ジョブローテーションから外れても何らかの形で救済措置を取り、昇進・昇格などで不利にならない仕組みも求められます。少子高齢化による人手不足の今こそ、逆にチャンスかもしれません。今後は先駆的に変革を行った企業のみに良い人材が集まり、発展していけるのではないでしょうか。
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