地域ブランド登録緩和で期待される効果
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特許庁は地域ブランドの登録要件を緩和する方針と発表
先日、特許庁が地域ブランドの登録要件を緩和する方針であるとの報道がありました。地域ブランドを保護する制度として、商標法は地域団体商標制度を設け、登録要件を定めています。主な登録要件は以下の4つです。
まず、「①出願できる主体」ですが、従来は事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合で、根拠法において加入の自由が確保されている団体等に限られていました。例えば、農業協同組合法により設立された農業協同組合などがそれに当たります。しかし、平成26年8月1日からは、これらに加えて、商工会、商工会議所、特定非営利活動法人も出願できるようになりました。出願できる主体の範囲が拡大されたことで、今後出願が増える可能性があります。
ほかに、「②これらの団体が、構成員に使用させる商標であること」が求められており、団体のみが使用し、構成員に使用させないことを予定しているものは登録要件を欠きます。また、「③商標が地域の名称と商品又は役務の名称などからなる」ことが必要です。
地域団体商標として登録されるには、上記①から③の要件に加えて、「④使用の結果、自己またはその構成員の業務にかかる商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていること」、すなわち周知性(使用による識別性)を得ているものでなければなりません。
地域ブランドの保護で、地域がより活性化することが期待される
この周知性を得ているかどうかの判断ですが、現在の審査基準では、商品または役務の種類、需要者層、取引の実情等の個別事情を考慮する必要があります。また、全国的な需要者の間に認識されるに至っていなくても、一定範囲の需要者、例えば、隣接都道府県に及ぶ程度の需要者に認識されていることを必要とします。
周知性の有無は、具体的には「ⅰ商標の使用開始時期、使用期間、使用地域」「ⅱ店舗数、営業地域、売上高など」「ⅲ広告宣伝の方法、回数、内容」「ⅳ一般紙、業界紙、雑誌、インターネット等における記事掲載の回数、内容」「ⅴ需要者の商標の認識度を調査したアンケート結果」などの諸事実を総合勘案して判断されます。
ところが、インターネットが普及している現在では、隣接都道府県という地理的な基準で周知性を判断すると、どうしても保護されない地域ブランドが出てきます。例えば、隣接都道府県の需要者にはあまり知られていませんが、離れている都市や外国の需要者に知られている地域ブランドは保護されない恐れが出てきます。
そこで、特許庁は、必ずしも隣接していない都道府県や外国における需要者の認識も考慮することで、周知性の有無を判断するよう改める方針のようです。その地域周辺ではあまり知られていなくても、遠隔地や外国で広く認識されているような地域ブランドを保護することで、当該地域がより活性化することが期待されます。
中小企業の知的財産権を守る専門家
長谷川武治さん(関西生祥法律事務所)
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