東京ガスCM放送中止、リアリティを批判する人の心理
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就職活動のリアリティを表現した東京ガスCM、放送中止に
東京ガスのCM「家族の絆-母からのエール編」を放送したところ、視聴者からの批判が殺到したことで、同社はCMの放送を中止しました。最近、この件についてインターネット上で大論争になっています。
主人公は就活中の女子大生。何社も選考に落ち続け「全人格否定されているような気になる」という、就職試験で苦労したことがある人だけでなく、リストラやパワハラ被害者や、その家族などにとっても、ズシンと響くセリフが登場します。頑張る就活生を温かい料理で静かに応援する母親、そして、その母親を応援する東京ガス、というのが伝えたいメッセージなのでしょう。
冷静に最後まで見てみれば、最後は「まだまだ!!」と、母の温かさに支えられてガッツを見せる女子大生の姿で終わっているCMです。果たして、このCMのどこが問題で、批判をするのは一体どういう人で、どういう理由からなのでしょう?
人は「主観」というオリジナルのフィルターを通して世の中を見る
人は、同じ経験を持つ、あるいは同じ状況にいる他者に対して、自分自身の姿を映し出します。例えば、ペットと死別して深い悲しみの最中であったり、そういった悲しみを経験したのであれば、ペットを亡くした他人の話を自分のことのように感じるでしょう。
これは、一見「共感」のようで実は「主観」なのです。相手の悲しみは、決して「全く同じもの」ではありません。ただ、自分の悲しみを相手に映しているだけなのです。人は「主観」というオリジナルのフィルターを通して世の中を見ています。このCMに関していえば、私自身は一個人として「良いCM」としか感じません。ですから、きっと100人が見れば100人の感じ方があるでしょう。
そして、人は「線」で物事を見ているようで、「点」で物事を見ています。よって、就職活動に対しての無力感や不安、恐れを感じている人にとっては、最後の母の温かさに支えられてガッツが湧く部分よりも、何とも無慈悲な就職活動のシーンが、このCMの象徴的なイメージとして残ってしまうのでしょう。
リアルな現実は、「理不尽」が当たり前
就職活動をするまでは、学生です。学生の間は、基本的には世の中のサービスや商品を選び受ける側です。ところが、就職活動において、人生初の「逆転現象」が生じます。自分を相手が評価し採用するのです。そこは無慈悲ですし、学校では習わない「数値」以外の部分が重要視されます。そして、感じるのが世の中の「理不尽」さです。熱望しても、どれほど下調べしても、不採用は訪れます。
もし、クレームをつけるのが親だったのならば、私は問題を感じます。世の中の「理不尽」に新社会人たちは対応していかなければなりません。それを子に伝えること、そして温かく支えることが、クレームよりも大切なのことではないでしょうか。
独自手法で短期解決をもたらす心理カウンセラー
青柳雅也さん(カウンセリングルーム アンフィニ)
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