「外国人技能実習制度」の根深い問題点
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国際社会に貢献することを目的に設けられた外国人技能実習制度
外国人技能実習制度は、主に発展途上国から外国人を招き、我が国の技術・技能等の修得を援助・支援して、発展途上国へ技術を移転することで国際社会に貢献することを目的として設けられた制度です。
もともとは、労働関係法規の適用のない研修生から、労働関係法規の適用のある技能実習生に移行させる研修・技能実習制度だったものが、平成21年の出入国管理及び難民認定法の改正により、入国当初から労働関係法令を適用させる技能実習制度として一本化されました。
職場と技能実習生との間には、支配従属的な関係が生じやすい
このように、国際貢献という目的をもった制度であるにもかかわらず、実際には、農業、漁業、縫製など、日本人労働者が不足している分野での労働力不足解消のために利用されているといった実態があります。特に、技能実習生は、技能実習を実施する予定の職場(実習実施機関)を特定した上で在留資格が与えられるため、職場を移転する自由がありません。
そうすると、職場での待遇に不満を持っていても、これに抗議したり外部に保護を求めたりすれば、職場を失って帰国せざるを得ない事態になるため、職場と技能実習生との間には、もともと支配従属的な関係が生じやすい構造が存在するといえます。
後を絶たない技能実習生に対する不正行為
実習実施機関である中小企業が、このような支配従属的な関係下で技能実習生を不足する労働力として利用し、これを搾取するといった問題を解決するために、労働関係法規が適用される技能実習制度として一本化されて以降も、賃金の問題のみならず、労災事例、パワハラ事例など、技能実習生に対する不正行為は後を絶ちません。
しかも、この新制度では、我が国における技能等の修得活動が終了するまで監理団体が技能実習の指導、監督、支援を行うものとされているにもかかわらず、監理団体そのものが実習実施機関と癒着して、最低賃金法違反の行為を幇助していたり、不正行為が行われていた時期における監査で、これを指摘できていない事例も数多く報告されているようです。
政府が率先して制度を目的外に利用すれば、日本の評価に関わる
このようなことから、日本弁護士連合会は,平成25年6月20日付けで「外国人技能実習制度の早急な廃止を求める意見書」を提出しました。我が国の政府は、東京五輪が開かれる平成32年までに限定して建設分野における労働力確保のために技能実習制度を使うと決めた模様ですが、制度の抱える問題が解消されない状況下において、政府が率先して制度を目的外に利用すれば、最終的には我が国に対する評価として跳ね返ってきます。
国際貢献といった本来の目的に反する結果となりかねませんので、このような政府の決定に異論が出るのも無理からぬところといえるでしょう。
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